メロウでソウルフルな名曲『Yellow Magus』について
まず、『Yellow Magus』の発売日や収録アルバムなど、基本情報について紹介します。
2013年12月発売のシングル
ceroは「Contemporary Exotica Rock Orchestra.」の略で、3人組のバンドです。
ブラックミュージック・ポップ・ロックなど多様な音楽性を感じさせる独自のサウンドが魅力のバンドです。
インタビューでは、たびたび小沢健二からの影響を口にしています。
現代社会の様で、それでいてどこか違う世界を描いたような高城晶平の歌詞はとても個性的です。
おしゃれで洗練されているのに親しみやすい彼らの音楽は、他にはない「cero」というジャンルの音楽と言っても良いでしょう。
そんな彼らの2013年12月にリリースされた1stシングルが『Yellow Magus』です。
メロウでソウルフルなノリノリのサウンドと独特なボーカルが絶妙なバランスの名曲に仕上がっています。
『Obscure Ride』に収録されているのは別バージョン
『Yellow Magus』は『Yellow Magus(Obscure)』として2015年5月にリリースされたアルバム『Obscure ride』にも収録されています。
こちらはシングルと別バージョンになっていて、ブラックミュージック寄りのタイトでシャープなサウンドが魅力です。
アルバム自体も彼らが独自の観点でブラックミュージックを解釈したような作品に仕上がっています。
それまでのceroの音楽とは一味違った印象を受けるでしょう。
そのようなブラックミュージックへのアプローチをはじめるきっかけとなったのは、『Yellow Magus』なのだと語っています。
『Obscure ride』は全体としてとてもグルーヴィーで心地よく、何度も聴きたくなる魅力があるアルバムです。
『Summer Soul』『Orphans』『夜去』など、素晴らしい曲が揃っています。
テン年代のマスターピースの呼び声も高い名盤ですので、まだ聴いたことがないという方はこの機会にぜひチェックしてみてください。
グルーヴィーなコードをチェック
『Yellow Magus』のコードはおそらく「A Bm7 C#m7 D」ではないかと思います。
こんなに単純な進行で合っているかあまり自信はないので、参考情報として考えてください。
「Ⅰ→Ⅱm7→Ⅲm7→Ⅳ」でループするので、明確な帰結感がありません。それによりなめらかで上がり続けるようなサウンドになっているのです。
歌のメロディーや鍵盤の音を拾ってスケールから考えると、より明確なコードがわかるでしょう。
歌詞を紹介
異国情緒溢れる船出
サーファーたち見送るOcean Liner to nowhere
打ち寄せる波はnova
波止場の女たちのカフスが風に揺れる
船出に沸き立つ群衆の声を掻き消し
祝砲をあげろHarbor
その時人知れずに水夫が囁いた
出典: Yellow Magus/作詞:荒内佑 作曲:荒内佑
後の歌詞に出てきますが『Yellow Magus』は船の名前です。
magusには「魔法使い」という意味があるので、『Yellow Magus』は直訳すると「黄色の魔法使い」ですね。
Y.M.Oをそれとなく連想させるところがあり、ブラックではないイエローのオリジナルなサウンドという想いがあるのかもしれません。
ここの歌詞はその『Yellow Magus』の船出の様子が描かれています。日本ではない異国情緒を感じますね。
「港を出たら針路を変え この船は砂漠の方角へ向かい
期待と船体 打ち捨て 風が凪いだら海底に沈めろ」
出典: Yellow Magus/作詞:荒内佑 作曲:荒内佑
「水夫が囁いた」言葉だと思います。未来を暗示しているような謎めいたメッセージです。
船は行方知れずに
誰もが忘れた船の名はYellow Magus
東方で行方知れず
彼らに祈りの十字も切られないまま
覚えているのはデッキに鳥が降り立ち
行先を告げるように
5色の嘴 もたげてた あの姿
出典: Yellow Magus/作詞:荒内佑 作曲:荒内佑