痛々しくも愛おしい

indigo la End「ほころびごっこ」の歌詞を独自解釈!幸福に慣れない人間が送る「ごっこ」とはの画像

indigo la Endが歌う『ほころびごっこ』は映画『ごっこ』の主題歌になっています。

鬱々とした世界観の中で綴られる悲痛な想いとやるせなさ。

それでいて覚悟のようなものも感じられるこの曲は、不幸を知っている者だけが持つ強さと弱さを歌っているのかも。

愛されること。救われること。

与えられることに慣れていない人間は、そんな当たり前の幸福さえ拒絶してしまいます。

欲しがる気持ちに素直になれない。

痛々しくもどこか愛おしい歌詞に胸が締め付けられることでしょう。

indigo la Endの研ぎ澄まされた感性

MVには映画にも出演している子役の平尾菜々花さんが登場します。

真っ黒な画面に白い文字で映し出される歌詞

まるで小説の1ページ目を開いたときのような始まり方です。

またMVは終始モノトーンの映像でつくられています。

色味が極端に少ない分、平尾菜々花さんが着ているワンピースの赤色が良いアクセントになっていますね。

白黒の世界で浮かび上がる赤。

こういった演出も曲のメランコリックな雰囲気を助長させています。

シンプルな映像の中にindigo la Endの研ぎ澄まされた感性が詰め込まれている。

そんなMVになっています。

幸せになれない

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あえて感情を抑えた歌声に乗せて綴られる剥き出しの痛み。

この抑揚のなさが余計に悲しみを深くしています。

幸せになれない主人公。

その心情が痛々しく歌われています。

愛情に戸惑う

軽んじた人生を送るしかないって
誰が決めたのか知らないまま付き合ってる
急な温かいムードは痛みに似て痒い
慣れてない幸福の合図は似合わない

出典: ほころびごっこ/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音

どうやらこの曲の主人公には恋人がいるようですね。

「軽んじた人生」とは、たいして意味のない人生ということでしょう。

生きていることに意味なんてないと誰かが言ったのかも。

それがなんとなく心に引っかかったまま、主人公は流されるように恋人と付き合っています。

しかし、恋人は優しく、誠実に自分を愛してくれている様子。

そんな恋人の愛を主人公は素直に受け取ることができません。

幸福は自分には似合わない。

「痛みに似て痒い」という歌詞からは、初めて与えられた愛情に戸惑っている様子が伝わってきます。

与える側の存在になりたい

救われたことないから
救い方がわからない
ヒーローになれたら ヒーローになれたら
やっときた幸福そうな結末に綻びたい
そんな気持ちはあるけど

出典: ほころびごっこ/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音

「救われたこと~」は、主人公の生い立ちをよく表している歌詞ですね。

誰かのために生きること。

それは自分のために生きてくれる人がいないとできない生き方なのでしょう。

与えられる喜びを知って、初めて人は与える側の存在になれるのだと思います。

誰かに何かを与えることができたなら、幸福な結末が待っているかもしれない。

「綻びたい」という独特な表現からは、主人公の控えめな願望がうかがえます。

幸せの花が開かなくても、蕾が少しだけ開きかけてくれればいい。

そんな小さな願いを抱くことさえ、主人公は躊躇してしまっているようです。

愛情を信じられない

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1番のサビでは、恋人への不信感と自分の不甲斐なさについて綴られています。

果たして主人公は卑屈な自分を変えることができるのでしょうか?

すれ違わない確信

まさか僕ら愛し合った?
あなた僕だけを見てるの?
すれ違わない確信が持てないと見返せない

出典: ほころびごっこ/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音