恋人の愛情を信じ切れないのは、自分に愛される自信がないから。

「まさか」という表現を使っているところからも、そんな主人公の心情が読み取れます。

自分なんかが愛されるわけがない。

どうせすぐに捨てられるに決まっている。

そんな卑屈な思いから、恋人に対して疑心暗鬼になっているようです。

自分だって誰かに愛される存在なんだ。

そう言って、過去の自分や自分を蔑ろにしてきた連中を見返してやりたいのに主人公はそれができません。

「すれ違わない確信」これは、いつになったら持てるものなのでしょう?

自分を変えたい

「バイバイ」「ごめん」「もうしないから」
後ろ向きな想像でごめんね
抜け出しはしたいんだ
あなたを見て一層思った

出典: ほころびごっこ/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音

自分の卑屈さから生まれた不信感は、当然相手の心を傷つけます。

それは主人公も分かっていること。

だから「ごめんね」と謝っています。

自虐や自傷というのは、ある種の自己防衛であり、同時に大切な人を悲しませる行為です。

自分を愛してくれる人がいるなら、その人のためにも自分を大切にしなければならない。

そのことに主人公も気付いた様子。

「あなた」が悲しむ顔を見て、ようやく自分を変えたいという気持ちが芽生えたのでしょう。

不器用な愛し方

indigo la End「ほころびごっこ」の歌詞を独自解釈!幸福に慣れない人間が送る「ごっこ」とはの画像

主人公は主人公なりに恋人への接し方について考えているようです。

愛されることに慣れていない主人公の愛し方は不器用で、しかしそれが愛おしくもあります。

幼少期の記憶

グリコ チョコレート パイナップル
先にゴールしたもん勝ち 人生
早ければ早いほど良いと
また誰が決めたのか知らんけど
何かの縁を周り続ける僕らはBB弾を拾っては
ポケットに入れる ヒーローになれる?

出典: ほころびごっこ/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音

きっと多くの人が子供の頃に遊んだ経験のある「グリコ」。

その「グリコ」のように人生も早く上がった方が勝ちなのでしょうか?

誰が決めたのか分からないルールに従って、主人公は人生を生き急いでいます。

また「何かの縁を~」の歌詞では、主人公の幼少期について歌っているようです。

子供の頃からヒーローになりたかった主人公。

拾ったBB弾で悪者を倒す妄想でもしていたのでしょうか?

主人公は子供の頃の記憶を辿りながら、辛い過去についても想いを巡らせているのかもしれませんね。

刺激を失いたくない

コーヒーカップの縁が広がるほど
酸味が刺激的になるらしい
なら距離が伸びるほど悪くないってあなたを見て思う

出典: ほころびごっこ/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音

カップの縁の広さによってコーヒーの味わいが変わる。

それと同じように恋人との関係も相手との距離によって変化するものなのかもしれません。

近くのものほど見えづらい。

少し離れていた方が互いのことをちゃんと理解し合えるものです。

それに、いつでも会える距離にいては日に日に新鮮さがなくなっていきます。

ずっと刺激を感じていたい。

だから恋人と距離を取る。

ひねくれているようにも感じますが、それだけ主人公にとって恋人の存在が大きいということなのでしょう。

少しは変われたかもしれない

indigo la End「ほころびごっこ」の歌詞を独自解釈!幸福に慣れない人間が送る「ごっこ」とはの画像

「あなた」と出会ったことで自分を変えたいと思うようになった主人公。

そんな主人公の成長が2番のサビで少しだけ見ることができました。

ありがちな幸せを求める

ソングライターが歌詞にしちゃうような
人生も悪くないなって
後味の苦味を少しでも減らせるようなメロディならもっと

出典: ほころびごっこ/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音

ソングライターが歌詞にするような人生。

それはきっと幸せなラブソングではなくて、困難のあとに訪れた小さな幸せの歌。

ハッピーエンドなんてまったく信じていなかった主人公が「あなた」と出会って変わりました。

今までの不幸は全部、恋人と迎える幸せな未来のためだったのかもしれない。

そんなありがちな歌を歌ってみてもいいだろう。

卑屈で誰も信じられなかった主人公が自ら幸せを求め始めた瞬間です。

迷いはまだ消えないけど...