さユり「平行線」
5thシングル曲
「平行線」はさユりさんの5thシングルとして2017年5月にリリースされました。
4thシングルで、RADWIMPSの野田洋次郎さんからの楽曲提供を受け、世間からの認知が広まったのと共に、楽曲制作に対するハードルも高くなったことでしょう。
「クズの本懐」ED曲
「平行線」はフジテレビ系アニメ・ドラマ「クズの本懐」のエンディング曲として起用されました。
「クズの本懐」はアニメとドラマが同時期に放送された珍しい作品でもありました。
出てくる登場人物のほとんどがクズという、面白い作品でした。人間の内側とか欲望をここまで表に出した作品は筆者にとって珍しく、とても楽しめました。
「平行線」の作詞作曲はさユりさんで、原作を読んだ上で書き下ろすことになりました。
「クズの本懐」があったからこそ制作できた楽曲であり、歌詞の内容も沢山の登場人物が持つ”弱さ”にリンクするところが多々あります。
PVはこちら!
「クズの本懐」のキャラクターが登場

「平行線」のPVにはアニメに出てくる花火を中心とした登場人物がしています。アニメのワンシーンが使われています。
ガラスが何度も割れるのが印象的です。自分の心の弱さ、弱みを踏みにじられるような感覚を表現しているのではないでしょうか。
歌詞解説
平行線とは?
太陽系を抜け出して平行線で交わろう
私と君の影のように伸びている 平行線
出典: 平行線/作詞:さユり 作曲:さユり
平行線という言葉は交わらない直線のことを指したり、食い違う意見に合点がいかない時などに使われる言葉です。
ですが、「平行線」ではずっと交わらない平行線のことを歌っているのではありません。
近くで見ると平行線だと思う2つの線でも、きっと太陽系を越えてまでずっと向き合っていると、いつかは交われるはずだと歌っているのです。
平行線が交わらないというのは太陽系の中の話で、太陽系を越えるところに点を置くと交わるという説もあるようです。
勇気がないのは時代のせいにしてしまえばいい
いつまでたっても思いは口に出せないまま
ただ壊れないように同じ今日を繰り返しなぞって
どこにもいけない 願いの居場所を探してた
出典: 平行線/作詞:さユり 作曲:さユり
自分のせいにしなくていいというメッセージから、”時代”という言葉が使われています。
しょうがないことです。少し間違ったことをすればすぐに袋叩きにされるのが今の時代です。
きっと誰もがそうで、さユりさん自身も同じ気持ちを味わっています。
不自由で生きづらくて居場所がない。共感してほしい人が溢れています。
君の唇から零れだす 言葉になりたい
出典: 平行線/作詞:さユり 作曲:さユり
Bメロの歌詞はたった1行だけです。
さユりさんの歌を誰かが口ずさむことは、誰かの中でさユりさんが生きていることになります。
そして、誰かがさユりさんを必要とし、さユりさんの歌の中に居場所を作っていることになります。
それが結果的にさユりさんの居場所にもなるわけです。
歌や言葉には力があります。その力は太陽系を越え、交わるはずがなかった平行線の接点となるかもしれません。