「償い」について
まず、さだまさしの「償い」がどのような曲かについてご説明します。
1982年12月発売の「夢の轍」に収録
さだまさしは「関白宣言」などのヒット曲で知られる、日本のシンガーソングライターです。
そのさだまさしの、1982年12月発売の7thアルバム「夢の轍」に「償い」は収録されています。
シンプルなマイナー調のフォークですが、そのシンプルさがより一層歌詞の深みを際立たせています。
実話に基づいた作品
この曲は、知人の交通事故にまつわる実話をもとに作られた曲です。その事故で人生が変わってしまった人たちの気持ちが伝わってくるような胸が締め付けられる歌詞は、一度聴くと忘れることができません。
歌詞は「ゆうちゃん」の目線で書かれていますが、実際には被害者の方の奥様から伺ったお話が元になっているそうです。
あえて、被害者ではなく加害者の目線で歌詞が書かれているということが大切です。
被害者がつらいということはもちろん、加害者も苦しんでいるという交通事故の恐ろしさをあらわしているのではないでしょうか。
意外な場所で使われた「償い」
「償い」はその考えさせられる歌詞の内容から、意外な場所で使われました。その場所はどこなのか、紹介したいと思います。
裁判所で被告への言葉として
「償い」は裁判官が被告に対して、判決と合わせて「知るべき歌」として伝えたことで話題を集めました。
2001年4月に東急田園都市線で、泥酔した男性が4人の少年と口論になるという事件が起きます。
その際に、少年4人は男性に暴行を加え、意識をなくした男性を放置しました。その影響で、男性はくも膜下出血により死亡します。
そして、少年4人の内、主犯格とされた2人が傷害致死罪に問われました。
裁判において、少年たちは反省の言葉を述べましたが、正当防衛だったと主張します。また、その落ちついた態度やしゃべり方からは、とても反省の色が伺えるものではありませんでした。
2002年2月の判決公判で、2人には不定期実刑が言い渡されます。
その判決の理由を述べる際に、裁判官は「さだまさしの償いを聴いたことがあるか」と少年たちに問いかけました。
そして、「せめて歌詞だけでも読めば、なぜ君たちの反省の言葉が人に伝わらないかわかるはずだ」といった内容を投げかけます。
これは、「償い説論」としてメディアでも取り上げられましたので、知っている方も多いのではないでしょうか。
上辺の反省ではなく、心から申し訳ないと思う誠実さを理解して欲しかったのだと思います。
運転免許試験場でも
「償い」には、失えば戻ることのない命の大切さや、罪を背負って償うということは何かということが描かれています。
その内容から、この曲は運転免許試験場の映像の中でも使われているのです。
乗りなれている車やバイクが、時に人の命を奪う凶器となることを思い出させるには最適な曲だと思います。その他に、交通キャンペーンなどに使われることもあるそうです。
歌詞の内容を徹底解説
裁判所や運転免許試験場で使われたことのある「償い」。その気になる歌詞の内容について、詳しく解説していきます。