マルチな才能が魅力のさだまさし

さだまさし1952年生まれ、長崎県出身のシンガーソングライターです。

フォークデュオ「グレープ」にてデビューし活躍しましたが、その後解散してソロ活動を始めています。

ソロ転向後は「関白宣言」をはじめ数々のヒット曲を放ち、息の長いライブ活動でも知られています。

また「鶴瓶の家族に乾杯」や「北の国から」といった人気テレビ番組の主題歌CMソングなども多数手がけており、若い世代でも「この声聴いたことがある」という人が少なくないのではないでしょうか。

さらには小説家としても執筆作品は多数で、中にはテレビドラマ化や映画化された作品もあります。

学生時代には落語研究会に所属していたこともあってか、巧みな話術とユーモアのセンスが評判のさだまさし

抱腹絶倒なライブMCも有名で、そのマルチな才能はとどまるところを知りません。

名曲「精霊流し」について

そんなさだまさしがグレープ時代の1974年4月にリリースしたのが今回ご紹介する「精霊流し」というナンバーです。

また同年8月にリリースされたグレープのデビューアルバム「わすれもの」にも、シングルとは別テイクで収録されています。

『精霊流し/さだまさし』は○○の実話が元になっていた  ・・・。歌詞が深すぎると話題!【歌詞解説】の画像

じわじわとヒット

「精霊流し」発売当時のグレープはデビューしたての名も無き存在に等しく、初動売り上げは伸びないままでした。

そんな中で、東海ラジオの深夜番組の一部で頻繁に流されたことがきっかけとなり、徐々に全国的なヒットへとつながっていったそうです。

初回プレスはわずか4500枚だった「精霊流し」ですが、累計売上枚数は何と30万枚にまで達しました。

さらには第16回日本レコード大賞の作詩賞を受賞し、グレープならびにさだまさし本人を代表する曲となったのでした。

『精霊流し/さだまさし』は○○の実話が元になっていた  ・・・。歌詞が深すぎると話題!【歌詞解説】の画像

「精霊流し」は実話を元に書かれた作品

さだまさしがこの曲を作ったのには、あるきっかけがあったといいます。

幼い時分から交流が深かった同い年の従兄が、あるとき水難事故で亡くなってしまいました。

その際に行われた精霊流しの光景をモチーフに、故人の恋人だった女性の心情を綴ったのが「精霊流し」です。

いわば、さだから従兄へ向けたレクイエムとも言える1曲なんですね。

彼女の目線で描かれる歌詞

曲中では哀しみをたたえながら大切な人のことを偲ぶ彼女の心が歌われています。

去年のあなたの思い出が
テープレコーダーから
こぼれています
あなたのためにお友達も
集まってくれました
二人でこさえたおそろいの
浴衣も今夜は一人で着ます
線香花火が見えますか 空の上から

出典: https://twitter.com/nipponfolksongs/status/893294636734627840

彼を知る人が集まって、在りし日の日々に思いを馳せているようですね。

本当はお揃いで着るはずだった浴衣なのに、今は亡き彼を想って一人で袖を通す彼女。

精霊流しの賑やかな光景が、空の上の彼にも届いてほしいと願っているのでしょう。

あなたの愛した母さんの
今夜の着物は浅黄色
わずかの間に年老いて寂しそうです

出典: https://twitter.com/usako10712/status/920414277898350592

浅黄色の着物というのは、精霊流しにおいて親族が着ることになっているそうです。(”浅黄色”は淡い黄色ですが、実際には薄青緑の”浅葱色”を意味しているのではないでしょうか)

歌の中で彼のお母さんは浅黄色ですが、彼女は前出の歌詞にあるように浴衣を身につけています。

彼女は親族ではない、つまりまだ結婚はしていない仲だったことがわかりますね。

実際の精霊流しはとっても賑やか

タイトルにある精霊流しですが、これは実際に長崎全県および近隣県の一部で行われるお盆の行事です。