映画『約束のネバーランド』主題歌

この楽曲は2021年発売のフルアルバム「ぐされ」に収録されている楽曲です。

YouTubeにもMVが公開されており、そちらは2020年の12月に公開されました。

ACAねさんの寂しさも漂う歌い出しから始まり、メロディも印象的な楽曲です。

また、この曲は2020年12月公開の映画『約束のネバーランド』主題歌でもあります。

映画のストーリーともリンクする歌詞にも注目して聴くとより楽曲を楽しめるでしょう。

追い求める真実

正しくなれない 霧が毒をみた
片っ端から確かめたくて
考え続けたい
偽りで出会えた 僕らは何一つも
奪われてないから

出典: 正しくなれない/作詞:ACAね 作曲:ACAね

歌い出しはサビから始まっています。

主人公は自分の行動か考えの中に「正しくない」何かがあり、それを苦悩しているようです。

それはいったいどんなものなのか、ここだけでは伺い知ることはできません。

しかし主人公は苦悩してばかりでふさぎ込んでいる訳ではないようです。

苦悩を抱えつつも、その中でも何か前向きな気持ちを持っているようにも感じられます。

主人公は何を苦悩し、どんな気持ちで前を向いているのか、次から読み解いていきましょう。

偽りの世界の中で

幸せな日々

僕ら育ってゆくみたい 愛されるみたい
暖かな波を読む
今日を 今を選ぶ 澄んだ朝色
尋ねる声で何度でも

出典: 正しくなれない/作詞:ACAね 作曲:ACAね

主人公は誰かとともに健やかに成長してきたようです。

それは子どもが親から愛情をいっぱいもらって育つように、自分たちも愛されていたと感じています。

それは穏やかな波にゆられるように心地よいものだったのでしょう。

その穏やかな日々は澄んだ朝を迎えることから始まっています。

「朝色」という色は具体的な色の名前ではなく、ACAねさんの独特の表現です。

しかし語感の爽やかさから、澄み渡った青空に朝日が昇る情景が浮かんでくるでしょう。

そんな日々を繰り返していたのだと感じられます。

また、この歌詞は『約束のネバーランド』の物語ともリンクして考えられる歌詞です。

『約束そのネバーランド』では、主人公達は孤児院で育っています。

その孤児院は表面的には子どもたちを愛し、大切に育てている、まさに楽園のような環境でした。

その姿とこの歌詞のイメージはリンクしており、表面的な穏やかさが感じられるでしょう。

気づいてしまった嘘

僕ら嘘つきだね、両想いだね
枯れ果てるまで泣き笑い
今日を 受け入れてゆく
喜びあった日々を 忘れはしないけど

出典: 正しくなれない/作詞:ACAね 作曲:ACAね

愛されながら育っていた主人公たちですが、その生活の中には何か嘘が隠れていたようです。

その嘘はきっとこれまでの生活を一変させるようなものだったのでしょう。

そして、どちらか一方が嘘をついていたのではなく、どちらも嘘をついていたのではないかと読み取れます。

そのことに互いに傷つき、また滑稽に感じてなのか、疲れ果てるまで泣き笑いを続けていました。

それは互いのついていた嘘を受け入れるために必要なことだったのかもしれません。

例え互いに嘘をついていたと発覚しても、日々は変わらず巡り、新しい今日は訪れます。

その日々を過ごしていく中で、これまでの幸せだった日々のことを忘れてしまう訳ではありません。

それでも、どこか割り切れない気持ちがあるように感じられます。

また『約束のネバーランド』でいえば孤児院の真実発覚がこの歌詞にリンクしているといえるでしょう。

幸せな環境だったはずの孤児院は実は子どもたちを閉じ込め鬼のエサにする「人間飼育場」でした。

さらに、子どもたちを愛して育ててくれていたはずのママも鬼側に荷担していたのです。

その真実に主人公が気づき、脱出を試みる心情とリンクしているといえるでしょう。

真実と嘘の狭間で

真実を求める代償

知らない方が幸せだって
知れば 知り得るほど

出典: 正しくなれない/作詞:ACAね 作曲:ACAね

これまでの幸せな日々は、嘘によって支えられていたものでした。

しかし、嘘に気づいてしまった以上、これまで通りとはいきません。

ここでは、本当は知らないままでいた方が幸せだったのかもしれない、という苦悩が感じられます。

知らないままであれば、表面的でも幸せなままでいられたでしょう。

さらに嘘を深掘りしていけばさらに知らない方が良かったと思う真実が見つかってしまいます。

その苦しさが溢れているように感じられるでしょう。