お願いよ 正直な
気持ちだけ 聞かせて
髪にジャスミンの花
夏のシャワー浴びて

出典: 白いパラソル/作詞:松本隆 作曲:財津和夫

最初から不安な気持ちを表していますね。

さんさんと降り注ぐ夏の陽射しはシャワーのよう。

清らかに、そして高く香るジャスミンの花を髪に飾り、彼女は問います。

「あなたの本当の気持ちはどうなの?」

白いジャスミンの花言葉は「温順」「柔和」そして「官能的」……ちょっとドッキリ!

歌詞では何色のジャスミンか語られていませんが、イメージはやはり白かなと思います。

花嫁のブーケにも使われますしね。

ちなみに「あなたについていく」という意味もあるそうですよ。

夏空はエメラルド
あなたから誘って
素知らぬ顔はないわ
あやふやな人ね

出典: 白いパラソル/作詞:松本隆 作曲:財津和夫

前の部分に続き爽やかな夏の情景が描かれます。

しかし2行目から「あなた」に対するちょっと厳しいツッコミが入りました。

確かに、夏の海辺というシチュエーションに誘っておいて知らん顔はないわー! と思います(笑)

「温順」で「柔和」なだけではない、芯の強い女の子なのかもしれませんね。

気が弱かったり、「あなた」にベタ惚れ状態だったら、このツッコミはちょっと無理かも?

さらさらと流れ落ちる砂とは?

【白いパラソル/松田聖子】歌詞の意味を考察!好きな相手の心中を量りかねる姿が時代を超えて共感を呼ぶ!の画像

渚に白いパラソル
心は砂時計よ
あなたを知りたい
愛の予感

出典: 白いパラソル/作詞:松本隆 作曲:財津和夫

サビの部分です。

白いパラソルはビーチパラソル? それとも日傘なのでしょうか?

これは聴く人の想像に委ねたいと思います。

筆者はなんとなく日傘の方を想像しました。あくまでなんとなくですよ。

「心は砂時計」これも想像力を必要とするフレーズですね。

さらさらと落ちていく砂が、夏の乾いた白い砂浜を連想させてくれるのは確か。

でも、それだと「心は」の意味が解明されていません。

3行目の「あなたを知りたい」が大きなヒントのようです。

下のガラスに少しずつ降り積もる砂のように、あなたのことをちょっとずつ知っていきたい。

そして砂が落ち切った時こそ、本当の愛が生まれる……そんな風に捉えられませんか。

彼女自身「あなた」に強く惹かれてはいるものの、まだ完全な恋には落ちていないようです。

ディンギーって何?

【白いパラソル/松田聖子】歌詞の意味を考察!好きな相手の心中を量りかねる姿が時代を超えて共感を呼ぶ!の画像

風を切るディンギーで
さらってもいいのよ
少し影ある瞳
とても素敵だわ

出典: 白いパラソル/作詞:松本隆 作曲:財津和夫

ディンギー……あまり聞き慣れない言葉だと思います。

簡単にいえば「キャビン(船室)を持たない小型のヨット」のこと。

キャビンがあるヨットはクルーザーと呼ばれますが、こちらはわりとポピュラーではないでしょうか。

この「ディンギー」は、松本隆作詞の別の曲にも登場するのですよ。

「白いパラソル」と同じ1981年3月にリリースされた、大滝詠一シングル「君は天然色」です。

松本隆のマイブームだったのでしょうか(笑)

次のシングル「風立ちぬ」が大瀧詠一(作曲の時は大瀧名義)作曲というのも不思議な縁です。

その小さなヨットでさらってもいいのよ? と、可愛らしく挑発する彼女。

でも言葉に出したかどうかは謎です。

「あなた」の魅力は、少し憂いを帯びた瞳のよう。

ヨットを乗りこなす、影ある瞳をもつ男性って格好いいなぁ……。

真珠の意味するもの

【白いパラソル/松田聖子】歌詞の意味を考察!好きな相手の心中を量りかねる姿が時代を超えて共感を呼ぶ!の画像

涙を糸でつなげば
真珠の首飾り
冷たいあなたに
贈りたいの

出典: 白いパラソル/作詞:松本隆 作曲:財津和夫

強気な彼女ですが、実は不安で心細いのですね。

「あなた」の心がどうしても読めなくて、でも自分はどんどん惹かれていって。

そんな切ない想いが、涙になって溢れそうなのかもしれません。

真珠の宝石言葉は「純潔」「完成」など。

そして「愛情の象徴」「涙の象徴」という意味合いもあるそうですよ。

男性に真珠の首飾りを贈るというのは、ちょっと謎な気がしませんか?

でも、彼女の涙で出来た首飾りは愛の温もりに満ちたもののはず。

「冷たいあなた」のポケットにそっと忍ばせてもらいたい……筆者はそんな風に想像しました。

実は「心の影」がテーマだった……?

【白いパラソル/松田聖子】歌詞の意味を考察!好きな相手の心中を量りかねる姿が時代を超えて共感を呼ぶ!の画像

渚に白いパラソル
答えは風の中ね
あなたを知りたい
愛の予感

出典: 白いパラソル/作詞:松本隆 作曲:財津和夫

この歌詞での「白いパラソル」は、単なるアクセサリー的なものではありません。

パラソルをさすと出来るものとはなんでしょう?

そう、正解は「影」

この詞は「育っていく恋心」だけではなく「心の影」も重要なテーマなのです。

パラソルが生み出す影は、彼女の不安な気持ちの象徴。

「愛の予感」はあっても、そこには不安がつきまとっています。

「あなた」の影ある瞳も、その不安を構成する一部かもしれません。

パラソルは風に吹かれて、不安と共にどこかに飛び去って行くのでしょうか。

それとも……?

なお、この「風」という言葉は、松本隆の詞において非常に重要なキーワードとなっています。

こちらについては「風立ちぬ」の記事内で説明していますので、今回は割愛します。