「The Others」は成長したMIYAVIの人生観が詰まったアルバム
L.A.に拠点を移した等身大のMIYAVIが映し出されている
2014年、L.A.に拠点を移したMIYAVIはJam & Lewisと共にシングル「Real?」を制作します。
それは現在のMIYAVIの核となる自由なスピリッツを表現した壮大なファンクナンバーでした。
ところが翌年、MIYAVIは私たちに更なる驚きをもたらしたのです。
それが2015年4月15日にリリースされたアルバム「The Others」。
その作品ではMIYAVIは自身のアイデンディティともいうべきスラップ奏法をほぼ封じていたのです。
「The Others」のレコーディングはL.A.とナッシュビルの2か所で行っています。
特にカントリー&ウエスタンの街ナッシュビルでの音楽体験はMIYAVIに大きな影響を及ぼしたのです。
日常の中にある音楽。自由な風土。
近所の食堂に行けばプロ以上に表現力を持つミュージシャンで溢れている街ナッシュビル。
そこで得た音楽体験はMIYAVIの土壌に豊かな表現力をプラスしてくれたのです。
映画「Unbroken」出演、そしてアンジーとの出会い
その間にMIYAVIはハリウッド映画「UNBROKEN」に出演。
鮮烈なスクリーンデビューを果たします。
そこでのアンジェリーナ・ジョリーとの出会いはMIYAVIの精神構造にまで変化を及ぼしたのです。
「人生における自分の役割は何か?」を真剣に考えるようになったMIYAVI。
その後彼女の紹介で国連大使の一人としてレバノンの難民キャンプを視察。
難民となった子ども達の力強さに触れ「音楽で子ども達に希望を与えたい」という想いが湧いてきたのです。
その想いは「The Others」の音楽性にポジティブなパワーをプラス。
さらにMIYAVIはアンジェリーナ・ジョリーをモデルにした「Alien Girl」という楽曲を書き下ろします。
プロデュースはインディア・アリー、ジョン・レジェンドらのグラミー受賞作を手掛けるドリュー&シャノン。
様々な要因を経て「The Others」は愛と希望に溢れた素晴らしい作品となったのです。
そこで今回はアルバムの核となる表題曲「The Others」を紹介します。
テロや災害の影響で世界中を閉塞感が覆う現代社会。
この楽曲を通してMIYAVIから溢れるポジティブなエネルギーに少しでも触れていただきたいと思います。
「The Others」のテーマとは?
「他者との共生」
今回は主に「The Others」の歌詞からMIYAVIが楽曲に込めた想いを紐解いていきます。
まずは楽曲のMVをご覧ください。
エネルギーに満ち溢れた歌声とパフォーマンス。
この原動力は「The Others」のテーマと重なります。
ずばり「The Others」のテーマは「他者との共生」です。
海外に拠点を移したことで見えてきた様々な矛盾。
なぜ人は争うのか?
このシンプルな問いにMIYAVIが導き出した答えが「The Others」なのです。
MIYAVIは当時英語でのコミュニケーションに疲弊していた時期。
それにも関わらずなぜ英語で歌い続けるのか?
多くの人々にメッセージを届けるために一番効率的な言語だから。
それが英語で歌うことへのシンプルな回答です。
最強の相棒BOBO氏とのセッション
歌詞と同様に大切にしたのはご覧の通りのパワフルなパフォーマンス。
「The Others」のMVは54-71のドラマーBOBO氏とMIYAVIのセッション映像のみで構成されています。
この2人のパフォーマンスが一番エネルギーをダイレクトに伝えることができるということでしょう。
2人から発せられる熱い想いをぜひ感じてください。
平和を愛する心を忘れないで
愛することを恐れるな!
Boy, Keep on diggin' deep in the dirt
(ボーイ、地中深くから生きがいを探り当てろ)
Don't let no love in too afraid to hurt
(傷つくことを恐れるあまり愛することを止めないで)
出典: The Others/作詞:MIYAVI,DREW RAMSEY,SHANNON SANDERS,LEO IMAI 作曲:MIYAVI,DREW RAMSEY,SHANNON SANDERS,LEO IMAI
「The Others」は世界中の人々に分け隔てなく宛てたMIYAVIからのラブレターです。
そして誰よりも想いを届けたいと思ったのは未来を担う子どもたち。
「The Others」の歌いだしが少年への語りかけになっているのはそのためでしょう。
アンジェリーナ・ジョリーと共に国連UNHCR協会の一員として訪れた難民キャンプ。
そこには多くの子ども達が恐怖と闘っていました。
日本にいて報道で知る情報と実際の光景の落差は比較できないほどの衝撃を与えたことでしょう。
同時に困難な状況下でも笑顔を絶やさない子どもたちに勇気をもらったMIYAVI。
無垢だからこそどんな色にも染まることができる子どもという存在。
黒く染められる前にMIYAVIは「愛」を忘れるなと語りかけます。
汝の隣人を愛せよ。
時には傷つくこともあります。
しかし恐れてはいけない。勇気を持とう。
そうMIYAVIは力強く歌います。