洋次郎の元に届いた文
被災者の言葉で歌を作る
野田洋次郎は福島県立浪江高校の最後の卒業生から、文を受けとりました。
2011年3月11日の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)に伴って発生した福島第一原子力発電所事故により避難指示がされた福島第一原子力発電所を中心とする半径20km以内の地域にある
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/福島県立浪江高等学校
上記の通りこの高校は被災地域にありました。 2015年に休校が決定され、2017年に最後の卒業生を送り出したのです。 彼らの言葉を元に書かれた「空窓」という曲が、4月8日に公開されました。
RADWIMPS / 空窓

静かな旋律に乗せて綴られる、2018年の被災者の姿。
その言葉をひとつひとつ、丁寧に読んでいきたいと思います。
卒業生の言葉から作られた歌
あれからお前は どうしているか
見慣れぬ景色は もう慣れたか
俺は俺でさ あれほど聞き馴れなかった
はずの言葉が もう板についたよ
出典: 空窓/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
震災の被害が凄まじかった地域の人々は、自分たちの故郷を追われ、全国に散り散りになりました。
俺はもう東北訛りは抜けたよ、お前はどんな調子だい?と標準語で語りかけます。
あの時の僕らは何も分からず
親父が言うまま 家を出たんだ
2日か3日ですぐ帰れるものと
ばかり思ってた あの日から7年
ケンカしたまま別れた友や
家を出たきり帰らぬ兄や
言えないままの ありがとう、
ごめんが宙ぶらりんのまま今日まで来たよ
出典: 空窓/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
震災の時にはまだ子供だったのでしょう。ただ言われるがままに、事の重大さもわからずに、ふるさとと別離したのです。
大人でもこんな事態は予測出来なかったでしょう。更に言えば震災はまだ終わっていないのです。
元の生活に戻れていない人が7万人以上、仮設住宅で今なお暮らす人々が1万4000人いるそうです。
その人たちの未来はいったい誰が教えてくれるのでしょう。僕たちの支援にかかっているのだと思います。
別れは突然に
生きているのかもわからない友達や、あの日から行方不明の兄。言えなかった言葉が胸の奥で重く残っています。
「後悔は決して消えない」言うのは簡単ですが、なんと辛いことなのでしょうか。
あの日あの場所で1万人以上の命が突然奪われたのです。言いたかった言葉がたくさんあったでしょう。
たくさんのごめんねやありがとうが、今も言えないままです。
遠ざかる故郷
時が僕らを大きくするけど
時は僕らをあの場所から遠ざける
僕らの故郷は今でもさ
僕らを待っててくれてるだろうか
出典: 空窓/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
7年が経ちあの日の少年少女は、大人になりました。遠ざかる懐かしき日々、薄れゆく故郷の記憶は平和な日常の中に溶けていきます。