いっそ殺して

「ねぇ、キミが好きだよ キミが欲しいよ」
そんな見え透いた嘘で
ああ また濡らされて また脱がされて
ひらひら踊る
そう あなたの水槽おりで 溺れ続ける
私は夜のエンジェルフィッシュ
ああ うたかたの夢 目が覚める
その前に殺して

出典: エンゼルフィッシュ/作詞:Nem 作曲:Nem

この1行目のセリフは男性が放ったもの。

でも、その「愛の言葉」には心がこもっていない…。

全ては彼女を釣るための嘘。

ただ弄ばれていることを、快楽だけが目的であると、彼女は理解しています。

苦しいのにやめられなくて…。

酸素を求めてたどり着いた「あなた」の水槽で、溺れているかのよう。

数々いる女性は同じ水槽で飼われている熱帯魚。

誰もが内面を大切になんてされてなくて、その美しい見た目を鑑賞されているだけ。

そして、こうやって「あなた」の深みにハマってしまった私も熱帯魚。

彼との時間が終われば、辛い現実が蘇ってしまいます。

ボロボロになった心を引きずって、また過酷な現実を生きていかなければならない。

いっそ殺してほしい。

主人公の悲痛な心の叫びが聞こえるようですね…。

胸に刺さるわだかまり

名前で呼んでほしかった

画面に連なった あなたの熱帯魚達コレクション
本当の名前は もう覚えていないでしょう

出典: エンゼルフィッシュ/作詞:Nem 作曲:Nem

複数人の女性と関係を持つ男性には「名前で呼ばない」という特徴があると聞いたことがあります。

理由は簡単。

他の女性の名前を誤って呼んでしまうから。

全ての女性を同じ呼び名にすれば、間違えるなんてこともありません。

でも、人は自分の名前を呼んでもらうことに喜びを覚えるもの。

男性にとって女性達は、信頼関係を築く相手ではないのでしょう。

ルックスや快楽的な側面しか見ていない…。

そんな虚しい状況に主人公は嘆いています。

深い喪失感

心も身体も とっくに売ってしまった
失うものなんて もう何も残ってないわ

出典: エンゼルフィッシュ/作詞:Nem 作曲:Nem

女性は信頼した相手に身体を許すといわれています。

関係を結ぶという選択は重大な決断なのです。

それをアッサリと弄ばれてしまえば、心に大きな喪失感が芽生えることでしょう。

ボロボロに傷ついた主人公の内面が読み取れます。

苦しそうですね。

悩み抜いた末の決断

これで最後にする

ねぇ あなたが好きよ あなたが好きよ
壊しちゃいたいくらい
もう これが最後で 構わないから
もう一度 与えて

出典: エンゼルフィッシュ/作詞:Nem 作曲:Nem

伴奏が静まり、ささやき声で歌われる「落ちサビ」の部分に入りました。

悩み抜いた末の心の声が綴られています。

やはり「好き」という気持ちが変わらない。

「いっそ殺して」という気持ちが臨界点を突破したとき。

あなたを「壊したい」という衝動に置き換わりました。

彼女はジッと堪えてしまう性格。

相手に向ける負のエネルギーを自分の中に抑え込んでいたのです。

でも、心の底ではたくさんの苦痛と愛情が混ざり合い「殺意」が芽生えていました。

MVではナイフを握って目を見開く主人公の姿が…。

これが「あなた」との最後の関わり。

辛い恋は悲しい結末を迎えてしまうようですね。

悲しい物語の結末

「ねぇ、キミが好きだよ キミが欲しいよ」
そんな見え透いた嘘で
ああ また濡らされて また脱がされて
ひらひら踊る
そう あなたの水槽おりで 溺れ続ける
私は夜のエンジェルフィッシュ
ああ うたかたの夢 目が覚める
その前に殺して

もう 逃がさないから あなたもここで
溺れ続けていて

出典: エンゼルフィッシュ/作詞:Nem 作曲:Nem