この前の一節で、「君がいつ電話をくれてもいい」というところがあるので、この「ちっちゃな願い」は、携帯電話の事になるのでしょうか。
いつでも君の電話を待っていて、だから話す相手も決まってきてしまう。
そんな状況を彼女に言うのは、一歩間違うと、非常に女々しいことになってしまいます。
でも、わかって欲しいという気持ちがとても伝わる一節で、それから片思いの辛さも滲ませます。
切なさの伝わるセリフです。
つよがっているのは、本当は、彼女ではなく自分の方なのでは?という問いも生まれてきます。
「優しい」ではなく「愛しい」と言って欲しい
悶える男心
古傷を持ち、つよがる相手に対して、包容力を見せながら、でも実はわかってもらえない切ない心を歌う。
この「つよがり」はそういう複雑な心境と矛盾を歌うナンバー。
男性という立場から見れば、女性を暖かく包み込む存在でありたいという思いは当然のことなのでしょう。
だからこそ、暖かい言葉をかけたい。
でも、もっともっと側にいて、もっともっと話したいし一緒にいたい。そういう気持ちが抑えきれないのです。
「つよがっている」のは確かに彼女なのですが、心に辛さを残しながらそれを彼女にはぶつけず、包容力を見せ「つよがっている」僕。
次の一節で、2人の関係がわかります。
「優しいね」なんて 買い被るなって
怒りにも似ているけど違う
悲しみを超えて 真直ぐに
向き合ってよ 抱き合ってよ 強く
出典: つよがり/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
まだ古傷にこだわっている彼女、もしかしたら元カレにまだ未練があるのかもしれません。
「優しいね」という言葉を返されて、僕は「買い被るな」と怒りにも似た、でも本当はとても残念な気持ちになってしまうんですね。
「優しい」ではなく、「愛しい」と返して欲しいのに、それがかなわない。
「お互いの想いの強さが違う」という恋ではもっとも辛いと言ってもいい感情。
こういうところを鋭く切りとれるのは、繊細な心の持ち主でなければ出来ません。
だからこそ、美しい歌が書けるのだと思います。
切なさと優しさの矛盾の中で
少しずつ、早く
たまにはちょっと自信に満ちた声で
君の名を叫んでみんだ
あせらなくていいさ 一歩ずつ僕の傍らにおいで
出典: つよがり/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
「あせらなくてもいい」と優しさを見せながら、この後の一節では、「早く、強く」向き合って欲しいと歌う男心。
まさに矛盾の中でもがいている姿を曝け出しています。
そういう赤裸々な心を歌ったラブソングがこの「つよがり」。
冒頭の「重い荷物を持つ手にもつよがりを知る」というフレーズは、すっと浮かんできたフレーズだといいます。
なかなか自然に浮かぶような言葉ではないと思いますが、詩人という言霊使いには、これはナチュラルな現象なのでしょう。
この曲は桜井和寿のボーカルを強調し、言葉が沁み込みやすいようなサウンド作りをしています。
ピアノの繊細なイントロと、徐々に厚みを増していくバックで流れる重厚なストリングスが、曲のスケール感を大きくするのに成功しています。
歌詞は、孤独で微妙な心を歌った歌。むしろ小さな心とも呼べる世界なのに、これをスケールの大きいバラードとして作りあげることによって、ラブソングとして昇華してしまう。
サウンドクリエーターとしての桜井和寿と小林武史、そしてMr.Childrenというバンドの力量に感心してしまうナンバーです。
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