1998年、宇多田ヒカルのデビュー
1998年12月9日、宇多田ヒカルは「Automatic/time will tell」を発表しました。
「Automatic」は高い音楽性と宇多田自身PVのダンスの魅力もあって記憶に残る曲でした。
でも2曲目に収録された「time will tell」も実はPVが制作されており、歌詞はとても深いものがあります。
発売当時15歳だった宇多田ヒカル。
歌唱力やリズム感覚はもちろん優れていたのですが、実は歌詞も当時から深い内容を表現していたのではないでしょうか?
宇多田ヒカル「time will tell」を聴く
YouTubeで宇多田ヒカル「time will tell」をcheck!
「time will tell」の歌詞を読む
泣いたって
何も変わらないって言われるけど
誰だって
そんなつもりで泣くんじゃないよね
出典: time will tell/作詞:UTADAHIKARU 作曲:UTADAHIKARU
まず泣くことについての宇多田ヒカルの表現があります。
泣いても何も変わらないと誰かに言われたことがあるのでしょうか?
何かがあって自然に涙が出るのです。
子どもにとって泣くことは自然な行為。
涙を流す理由はいろいろあっても、その涙が何かを変えるために泣いているわけじゃないと歌っています。
悩んだって仕方ないよ
I just can't control the time
この長いRunwayから青空へTake off!
出典: time will tell/作詞:UTADAHIKARU 作曲:UTADAHIKARU
子ども時代からずっと飛び立ちたかったのでしょう。
時間をコントロールすることはできない。
だから時には泣きながら待つしかなかったのでしょう。
でもようやくこの長い滑走路から空へ飛び立つのです。
ひとりで落ち込まないで
We just can't control the time
この長いRunwayから青空へTake off!
出典: time will tell/作詞:UTADAHIKARU 作曲:UTADAHIKARU
同じメロディでひとりで落ち込まないでと誰かを励ましています。
そして私たちは時間をコントロールできないと言います。
そしてようやく今から大空へ飛び立つのです。
Time will tell 時間がたてばわかる
Cry 今の言い訳じゃ自分さえごまかせない
Time will tell 時間がたてばわかる
Cry だから今は泣きたいだけ泣いていい
もっと もっと もっと
出典: time will tell/作詞:UTADAHIKARU 作曲:UTADAHIKARU
時間が教えてくれる。時間がたてばわかる。
彼女がこう歌っていた時、この時間とはいったいどれぐらいの時間をイメージしていたのでしょうか?
彼女は今は泣きたいだけ泣いていいと歌い、明日へのずるい近道はないと言います。
彼女は歌うことで空へ飛び立つイメージを持っていたことは間違いありません。
でもそう簡単には飛び立てない。
両親や友だちや社会や様々なことがあって、時には待つしかなかったのでしょう。
でも時間がたてば何が正しかったか教えてくれると宇多田は歌っているのかもしれません。
A面曲「Automatic」との比較
「Automatic」を聴きなおすと14、15歳にしては凄く大人びていると感じます。
デビュー曲を「time will tell」とどっちをA面にしようか考えていたという彼女。
もちろん「Automatic」が素晴らしいのですが、今から空へ飛ぶという気持ちが描かれていた「time will tell」には、彼女が感じていた気持ちがそのまま歌詞になっていたのではないかと思います。