また「君」は化粧をしていると思われる描写があります。

唇は元々赤みを帯びているものですから、当然かもしれません。

しかし、その先にこんな一節があるのです。

目が覚めて鏡を見れば 口紅で I LOVE YOU
メカニズムも止められて終わる SUCK OF LIFE

出典: SUCK OF LIFE/作詞:吉井和哉 作曲:吉井和哉

「赤い」のは、「君」が口紅をさしているからではないでしょうか。

だからこそ、持っていた口紅でメッセージを残したのでしょう。

「君」はきらびやかな服装や化粧をしている。

または「僕」にとってその印象が強いことが窺えます。

「君」の描写から思い浮かぶのは

THE YELLOW MONKEY【SUCK OF LIFE】歌詞の意味解説!女狐の涙が示すものとはの画像

虹を集めゴージャスな ドレスを作って

出典: SUCK OF LIFE/作詞:吉井和哉 作曲:吉井和哉

この箇所にもあるように「君」は、化粧だけでなく服装も豪華な印象が窺えます。

そう考えると「君」の像は、グラムロックのミュージシャンのような姿を彷彿とさせますね。

THE YELLOW MONKEYが多大な影響を受けてきたカルチャーの担い手たちです。

中でも有名なのは、吉井さんが敬愛するデヴィッド・ボウイでしょう。

彼は女性もののドレスを着たり派手なメイクを施すなど、"両性具有"を体現する存在です。

そして「君」も、性別を超えて惹きつけられる強い魅力を持っています。

モデルというほどではないかもしれませんが、彼のような人を想定して描かれたのかもしれません。

ともかく「君」は「僕」にとって惹かれてやまない存在なのです。

僕に夢中になってよ

BE MY SUCKER
OH BE MY SUCKER

出典: SUCK OF LIFE/作詞:吉井和哉 作曲:吉井和哉

曲の最後にはこのフレーズが繰り返されます。

「SUCKER」は直訳すると"吸う人"です。

また"夢中になる人""だまされる人"という意味もあります。

エロティックなことを窺わせる描写も多いので、直接の意味は前者かもしれません。

けれど気持ちの上では後者が大きいでしょう。

「僕」はどうしても「君」に、自分に夢中になってほしいのです。

自分と同じくらいの熱量で想ってほしいのです。

たとえ「君」が、自分以外にも引く手あまただったとしても。

「君」のお相手、「僕」のライバル

「君」に必要ないもの

先ほど挙げたフレーズに出てくる「悪女」や「女狐」。

彼女らが同一人物かは不明です。

ただ「君」の近くにいる女性ではあるのでしょう。

「悪女」は読んで字の如くですが、「女狐」はもちろん比喩表現です。

狐は古来より、人間を化かしてだます動物とされてきました。

そこから転じて「女狐」は男性をだます女性という意味で使われています。

「僕」は「悪女」も「女狐」も、「君」をだまそうとする悪い女性だととらえているようです。

流す涙も、そのための嘘泣きによるものだと思っているのでしょう。

もしもだまされてしまったら、それこそ「君」が彼女(たち)の「SUCKER」になってしまうのです。

男性もパートナーにできる「君」ですが、より女性に惹かれやすいのでしょうか。

または「君」を誘惑してくるのは女性が多いのかもしれません。

どちらにせよ冒頭にも「君には必要ない」とある通り、「僕」女性を相当警戒しているようです。

相手にできないとか似つかわしくないとかではなく"要らない"という表現。

そこから、男性相手よりも危機感が強いような印象を受けます。

嘘の涙と、本当の涙

純白の涙を OH

出典: SUCK OF LIFE/作詞:吉井和哉 作曲:吉井和哉

また、逆に「君」が流すのは「純白の涙」と表現されています。

これもまた比喩かもしれませんが、ここではストレートに意味をとらえてみましょう。

"清廉潔白"という言葉があるように、白は"真実"を表す色です

つまり「純白」は本物の涙ということになります。

そう、「女狐」とは対照的なものですね。

欲を隠さない「君」の目から本物の涙が流れている。

それは「僕」にとってこの上ない喜びでしょう。

その時だけでも、「君」が「僕」に真実をくれたということ。

つまり自分に夢中になってくれたのですから。

二人の関係のゆくえ