「心もよう」井上陽水
「心もよう」の詳細
厚底ブーツやパンタロンなど、自由なファッションが流行り出した1960年代後半から1970年代にかけて、わが国は“フォークブーム”となりました。
そして、自らが作詞・作曲をして歌う“シンガーソングライター”がたくさん登場することになりました。
そんな中の一人である「井上陽水」が作詞・作曲をして歌った「心もよう」は、当時の若者の奥深い心境を歌っているといえます。
「心もよう」の詳細をご覧ください。
1973年9月21日リリース
4枚目のシングル42.3万枚の売り上げ
オリコン最高7位
B面:帰れない二人
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%83%E3%82%82%E3%82%88%E3%81%86
「心もよう」の歌詞の解釈とコードを紹介します♪
歌詞に込められた意味とは
Am Dm / Dm /
さみしさのつれづれに
G7 C E7 Am
手紙をしたためています あなたに
Dm Am
黒いインクがきれいでしょう⁉
Dm F E7 / E7 /
青い便箋が 悲しいでしょう⁉
出典: 心もよう/作詞:井上陽水 作曲:井上陽水
最初の歌詞ですが、手紙を書いているというのだから、今近くにいる人ではないことがわかります。
しかし、この時点ではその相手が友人であるのか、恋人であるのか、以前恋人であった人なのかは、はっきりしていません。
ただ、淋しく何もすることがない日々を過ごしている中で手紙を書いているのですから、単なる友達とは考えにくいですね。
“黒いインクがきれいでしょう”にはどのような意味があるのでしょうか。太字で書かれているから“きれい”といいたいのでしょうか。
でも、それなら次の歌詞の“青い便箋が悲しいでしょう”が引っ掛かってきます。
普通はラブレターで青い便箋は使いませんよね。ラブレターには淡いピンクの便箋などが効果アリだそうです。
ところで、退屈な毎日を“つれづれ”と表したり、手紙を書くと書かずに“したためています”と表現するところに井上陽水の繊細さが感じられます。
そして次の歌詞です。
Am Dm G7
あなたの笑い顔を 不思議な事に
C E7 Am
今日は覚えていました
Dm Am
19才になったお祝いに
Dm F E7 / E7 /
作った歌も 忘れたのに
出典: 心もよう/作詞:井上陽水 作曲:井上陽水
あなたの笑い顔を今日は覚えていました?それも不思議なことに?
なんだか解釈することが難しい歌詞になってきました。
“19才のお誕生日”には歌まで作ってお祝いしたというのに、笑い顔をずっと忘れていたというのは、顔を見なくなってずいぶん時間が経っていることがわかります。
これはもう、友人ではありません。おそらく過去の恋人に宛てた手紙でしょう。
次の歌詞をみてみましょう。
Am
さみしさだけを手紙につめて
Dm
ふるさとに住むあなたに送る
Am
あなたにとって見飽きた文字が
Dm / Am / Am / Am / Am /
季節の中で埋もれてしまう
出典: 心もよう/作詞:井上陽水 作曲:井上陽水
ここで手紙を書いて宛てた相手が“ふるさと”に住んでいることがわかりました。
また、文字が見飽きたものになっているのは、何度も手紙を受け取っていたのかもしれません。
ただ、手紙を書いている人が男性なのか、女性なのか、それがわからないのです。
歌詞というものは、人それぞれによって受け取り方が違うものだと思うのですが、ある程度、男女の区別がつく歌詞が多いと思うのです。
しかし、「心もよう」はどちらとも考えられるのです。
2番の歌詞で二人の関係がわかってきました。
Am Dm / Dm /
遠くで暮らす事が
G7 C E7 Am
二人に良くないのはわかっていました
Dm Am
くもりガラスの外は雨
Dm F E7 / E7 /
私の気持ちは 書けません
出典: 心もよう/作詞:井上陽水 作曲:井上陽水
離れて暮らすことが“二人を遠ざけてしまう”ことはわかっていたという歌詞から、手紙を宛てた相手は恋人であることはわかりました。
離れて逢えないと気持ちが遠ざかってしまうだろうから。といいたかったのだろうと思います。
ただ、“私の気持ちは変わっていない。今でも愛しているのです”それを手紙に書くことができないという、なんとも悲しげな歌詞ですね。
歌詞は1番の最後を繰り返します。
そして、2番の最後の歌詞では、四季が移り変わっていく情景が見事に表現されています。
Am
あざやか色の春はかげろう
Dm
まぶしい夏の光は強く
Am
秋風の後 雪が追いかけ
Dm / Am / Am /
季節はめぐり あなたを変える
出典: 心もよう/作詞:井上陽水 作曲:井上陽水
春夏秋冬が移り変わっていく情景は美しいものです。
しかし、季節がめぐることで、あなたの気持ちは変わっていく、どんどん遠ざかってしまう、といった切ない気持ちで終わっています。
井上陽水から、こんな繊細な歌詞が出てくるとは、ちょっと驚きました。
でも、暗く辛い日々の心情が上手に表現された歌詞と、それに合った曲でヒットしないはずはありませんよね。