長渕剛さんの「しあわせになろうよ」とは
彼自身の36枚目のシングル
「しあわせになろうよ」は長渕さんの36枚目のシングルです。
2003年にリリースされ、週間オリコンランキングは2位を記録。
彼の歌は平成の若者にも広く知れ渡ることとなりました。
それまで彼の曲を聴いたことがなかった方も、この曲から聴き始めたという声をよく耳にします。
長渕さん自身の楽曲で2000年代に入ってからは、2枚目のシングルです。
前作の2002年リリース「静かなるアフガン」はオリコン12位とこちらもヒットソング。
時代を読み、聴く人を付いて来させる彼の手腕とカリスマ性は今も健在です。
壮大ながらもシンプルなメッセージソング
今回紹介する「しあわせになろうよ」。
構成だけを見れば、非常にシンプルで聴きやすい曲となっています。
前に出やすい楽器は使わず、渋い長渕さんの声とそれを引き立てる控えめなコーラス。
表面だけ見れば王道のバラードに聞こえます。
しかしそこは長渕さん。
深く掘り下げてみると、プロフェッショナルの手法が見え隠れしています。
最大の特筆すべき点といえば、サビをじっくり繰り返すところでしょう。
後述しますが、サビの歌詞は非常に伝わりやすい真っ直ぐな愛のメッセージ。
それを曲中にじっくりじっくり繰り返す。
聴いているとじんわりとそのメッセージが伝わってきます。
本当に伝えたいことを大切に染み入るように伝える。
この手法は、「歌」というものを知り尽くした長渕さんにしかできないはずです。
真っ直ぐに繰り返す
素朴ながらも素敵な提案
優しくも男らしい長渕さんの歌い出しから始まるこの曲。
最初から一番伝えたいことを歌っています。
出会った頃の二人に
も一度戻ってみよう
出典: しあわせになろうよ/作詞:長渕剛 作曲:長渕剛
このフレーズはどんな相手に向けたメッセージなのでしょう。
家族でしょうか、恋人でしょうか。
そして「頃」ということは、「場所」ではなく「時」。
もう一度出会いたいのではなく、もう一度やり直す、見直すというニュアンス。
今まさに深く愛し合っている仲ではないでしょう。
愛し合ってきた仲ですれ違ってしまっている時の言葉だと思います。
長い関係だからこそ忘れてきてしまったものがある。
だからこそ、あの時に戻って色々と見直してみようという愛のある提案なのです。
さりげなく告げる愛がかっこいい
そして二人で手をつなぎ
しあわせになろうよ
出典: しあわせになろうよ/作詞:長渕剛 作曲:長渕剛
前述した愛の提案。
そこに繋がるのはさりげない愛の言葉。
大げさにではないのです。
日常会話に出てくるように素っ気なく「しあわせに〜」と告げています。
これは本当に愛しているからこそ出てくる言葉ではないでしょうか。
大事なフレーズをすんなりと歌の頭に持ってきて、素っ気なく愛を告げる。
なんとも男らしいですね!
そしてここまでのフレーズは2回繰り返されるのです。
そうすることで、シンプルですんなり入ってしまう歌詞を深みのあるものへと昇華しています。