ELLEGARDEN「アッシュ」
ELLEGARDENが2006年にリリースしたアルバム『ELEVEN FIRE CRACKERS』。
インディーズロックバンドとしては異例のオリコンチャート1位を記録し、ELLEGARDENのロックバンドとしての地位を確固たるものにしたアルバムです。
今回はこのアルバムの7曲目に収録されている楽曲「アッシュ」を解説していきます。
特徴的なギターリフで始まるイントロ。 ダークな雰囲気を感じさせる楽曲ですが、サビに入ると一変。
無条件で胸を高鳴らせる音の塊に、思わず飛び跳ねたくなります。
爽快で洗礼されたメロディは、細美(Vo.Gt.)のメロディーメーカーとしての実力を遺憾なく発揮しています。
日本語で紡がれる言葉たち
英詞の多いELLEGARDENの楽曲ですが、「アッシュ」は一部分を除き日本語で歌詞が綴られています。
人が生きていく上で、悩みはつきものです。
何度も道に迷い、選びながら進んでいかなければなりません。
今、人生で迷っているあなたへ。
「一歩踏み出してみよう」、アッシュはそんな前向きな気持ちになれる楽曲です。
主人公と「君」の物語
この楽曲は主人公と「君」の二人の物語。
一番は「君」へと語りかけられるフレーズから始まります。
天邪鬼な性格の「君」
綺麗な言葉で片付ける君が
誰より悲しい顔を見せるように
出典: アッシュ/作詞:TAKESHI HOSOMI 作曲:TAKESHI HOSOMI
「君」は天邪鬼のような性格なのでしょう。
自分にとって何か不都合なことが起きれば、御託を並べて言い訳をする。
だけど本当はピュアな心の持ち主で、受け入れたくない事実ほど重く受け止め、それが表情にも表れてしまう。
その性格の二面性を描いています。
冒頭にこの歌詞を歌うことで、主人公はそういった面も知っているのだという二人の深い関係性をうかがうことができます。
試行錯誤の先に道は開ける
疑う心やさまよう指先
迷った分だけ先へ進むんだ
出典: アッシュ/作詞:TAKESHI HOSOMI 作曲:TAKESHI HOSOMI
ときに自分が進む道に迷ってしまうことがあります。
これでいいのか、それとも違う道を選択するのか。
即断即決で物事を進めていくことができる人もいますが、そう多くはいません。
「君」も今、悩みの岐路に立っていて、何かを決断しようとしているようです。
そんな「君」に対し、主人公は背中を押しています。
「迷っているぐらいなら、やってみろよ」。
そんな風に解釈もできますが、恐らく主人公はその逆のことを言っているのではないでしょうか。
どれだけ迷って、悩んでもいい。
その方がいざ一歩踏み出したときには、強い覚悟が芽生え、足取りも軽くなる。
主人公は現状の「君」を否定しているのではなく、試行錯誤の上で次の一歩を踏み出せばいいと言っているのです。
後悔するのは必死だった証
後になってこうだって気づくまで
何度だって奪い合って
朝になってくるまって見上げたら
窓に射す外光
出典: アッシュ/作詞:TAKESHI HOSOMI 作曲:TAKESHI HOSOMI
「あのとき、ああしとけばよかった…」。
そんな思いに駆られた経験はありませんか?
どれだけ悩み抜いた上で判断したことも、必ずしもその全てが正解だとは限りません。
良くも悪くも人生は一筋縄にはいかないもの、後悔の念が押し寄せてくることもあります。
ですがそれは一生懸命だった証。
自分にとって優先順位が低かったり、手を抜いているのであれば後悔することもまたありえないのです。
主人公は「君」もそんな風に思えるまで頑張って欲しいと願っているのでしょう。