宇多田ヒカルのSingle収録曲「タイム・リミット」とは?
2000年6月30日、通算6枚目のシングルとして発表された「タイム・リミット」。
このシングルは両A面となっており、「For You/タイム・リミット」として発売されました。
1998年にデビューした宇多田ヒカルは、1999年1stアルバム「First Love」が未曾有の大ヒット。
歴代アルバムセールス1位という日本音楽史における新記録を打ち立てました。
その勢いが衰えることなく、1年後に発表された「For You/タイム・リミット」。
自身初の全国ツアーのイメージソング
「For You/タイム・リミット」が発表された翌日。
宇多田ヒカルの初の全国ツアー、「BOHEMIAN SUMMER 2000」がスタートしました。
7月~8月の1か月間に亘り、全国10か所で開催されました。
このツアーはDVDにもなっており、オリコン週間DVDランキングで2週連続総合首位を獲得しました。
これは女性アーティストのライブDVDとしては史上初だったそうです。
「タイム・リミット」はこのツアーのイメージソングとしての役割も持っていたとのこと。
その証拠に同曲のPVには、ツアー初日の映像が使われています。
海外の大物編曲家と有名バンドのギタリストが制作に参加!
編曲家は世界的なヒットを飛ばし続ける怪物プロデューサー
全国ツアーのイメージソングだった「タイム・リミット」。
宇多田ヒカルのアーティスト人生の中でも重要なこの曲ですが、作編曲にも相当な気合が入っています。
編曲を務めたのはロドニー・ジャーキンスという人物。
実はこの方、アメリカの音楽界隈で名を轟かせる名プロデューサーです。
自身もDarkchildという名義でブラックミュージック界隈で活躍。
あのマイケル・ジャクソンやビヨンセ、レディー・ガガ等の楽曲をプロデュース。
その他にも一度は名前の聞いたことのあるような世界的なアーティストとリレーションがあります。
文字通りの大物ですね。
「タイム・リミット」の編曲に参加した時、ロドニーは若干20歳。
宇多田ヒカルは17歳でした。
一般的には高校や大学に通っているような年齢で大ヒット曲を生み出す彼らの才能に畏敬の念すら抱きます。
作曲は宇多田とGLAYのギタリスト・TAKUROの共作
作曲にも日本の誰もが知っているような人物が参加しています。
北海道が生んだモンスターロックバンド、GLAYのギタリストであるTAKUROです。
当時「Winter,again」の大ヒットにより勢いに乗っていたGLAY。
その中でもTAKUROは、アーティストのプロデュースや楽曲提供を行う機会が多くなってきました。
「タイム・リミット」では宇多田と共作という形で作曲に参加。
本名である「久保琢郎」名義でクレジットされています。
この共作もあり、TAKUROと宇多田ヒカルは交友関係があるようです。
宇多田の作曲センスにTAKUROがどのようにスパイスを加えていったのでしょうか。
当時の制作現場の様子を見てみたいですね。
豪華制作陣に囲まれて作成された「タイム・リミット」。
ここからはその歌詞について見ていきましょう。
英語で歌われた複雑な感情の葛藤
I know what you're going through
And I ain't the one to comfort you
But I do cuz I need it too
タイム・リミットに怯えているようじゃ
頼れないよ
出典: タイム・リミット/作詞:Utada Hikaru 作曲:Utada Hikaru and Kubo Takuro
いきなり英詞でのスタートです。
歌詞1行目は「貴方がどんな目に遭っているか、私は知っている」。
歌詞2行目は「そして私は貴方を癒してあげられる存在ではない」。
歌詞3行目は「でもそうする、それがとても必要だから」。
直訳するとこんな感じでしょうか。
意味を考えてまとめてみましょう。
貴方がどんな目に遭ってるかは知っている。
私じゃ慰めにはならないかもしれないけど、慰めさせて。
だって私がそうしたいから。
といった所でしょう。
「私」は「貴方」を慰めるに足る存在ではない。
この部分からは「私」の「頼られたい気持ち」と「そんな資格はないという気持ち」が見えます。
慰める資格がないと感じているのは、それが出来るほど親しい間柄ではないからでしょうか。
つまりまだ恋人同士ではない可能性が見えますね。
タイム・リミットについては後々意味が分かってきます。
とりあえず飛ばしてみていきましょう。