RADWIMPS「愛にできることはまだあるかい」
人が生きるということを描いた歌
なぜ人は生きていくのか。
その命の意味に悩むことがあります。
今回解説していくのはRADWIMPSの「愛にできることはまだあるかい」。
生きる意味に悩み、現実に息苦しさを感じながらも、必死に生き抜こうとする姿を描いています。
今、命の意味に悩んでいる方へ。
「愛にできることはまだあるかい」は、生きるということの1つの答えを教えてくれる楽曲です。
「愛にできることはまだあるかい」について
2019年7月に公開され、大ヒットを記録した映画『天気の子』。
「愛にできることはまだあるかい」はその主題歌として書き下ろされた楽曲です。
美麗なピアノとストリングスを基調にアレンジが施されています。
透徹感と空間的な広がりを纏ったギターの音は、映画の世界観でもある「空」のよう。
ひとつひとつの言葉を大切に歌う、ぬくもりのある野田のボーカルは圧巻です。
終盤のコーラスとともに繰り広げられる展開は、光が射し込むかのような神聖さに満ちています。
人生の儚さ
何も持たずに 生まれ堕ちた僕
永遠の隙間で のたうち回ってる
出典: 愛にできることはまだあるかい/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
人生の無情さと儚さを歌っています。
人は生まれたとき、言葉通り丸裸です。
成長とともに、愛や友情といった目には見えぬもの、お金や服といった物理的なものを手にしていくのでしょう。
そしてこの命には限りがあります。
天寿を全うした後には、あの世へと旅立つのです。
しかし現世でどれだけ多くのものを手にすることができても、あの世には何も持っていくことはできません。
そう分かっていながらも生きていかなければならないことに、主人公は苦しみを覚えています。
息苦しい現実
諦めた者と 賢い者だけが
勝者の時代に どこで息を吸う
出典: 愛にできることはまだあるかい/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
いつかは死ぬと分かっていても、あの世に何も持っていけなくても、人は必死に生きようとします。
それは残された家族のためでもあり、生きた証を刻むためなのでしょう。
しかし待ち受けている現実はどうでしょうか。
誰もがやりたいことだけを自由にやれるのならば、それ以上に幸せなことはありませんが、それはほんの一握りの人だけ。
本当にやりたいことはできずに、生きるために生きて。
誰も傷つけないように、自分も傷つかぬように愛想笑いを浮かべて。
その現実の息苦しさに、主人公は嘆いているのです。
そうやって自分の心に積み重ねた嘘が、いつか死ぬときになって後悔へと変わるのかもしれません。
主人公にとって社会は無情
支配者も神も どこか他人顔
だけど本当は 分かっているはず
出典: 愛にできることはまだあるかい/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
主人公の目から見た今の社会が表現されています。
本来、手を差し伸べる側にあるはずの人間が、受け取る側に回ろうとする。
見て見ぬ振りをする。
「助けて欲しい…」
本心ではそう願いながらも、諦めにも似た気持ちを抱いているようです。