宇多田ヒカルの新曲「Forevermore」のミュージックビデオが話題！歌詞の解釈は？（動画あり）

確かな足取りで家路に着く人とはどんな人たちでしょうか？ 毎日、帰る家があり、安定した収入があり、世間的に幸せだと思われているような人々。そう想像できるかもしれません。 そういう人たちがたくさんいる大通りではなく、小さな小道か、路地か、そういう場所に彼女はいます。 イヤフォンは壊れています。音が鳴っているのか、それとも鳴っていないのか。それはわかりません。 音楽というものがひょっとすると価値を失っているのかもしれません。 それよりも耳をふさぐことのほうが重要なのです。 そしてそんな孤独の中で、あなたの名前をつぶやきかけます。

英語で歌われている部分も意味深です。 他の人たちは来て、そしてさってしまうけれど あなただけは私の心に未来永劫います。 そう訳してみました。

価値観や趣味嗜好が人を定義するのではないと教えた人。 それがあなたです。その代わりにきっと最も大切なことを教えてくれたのでしょう。

私の中に残っているのは愛です。 そしてそれは生まれ変わっても忘れることのないものです。

愛というものがどこまでも響いている歌詞です。 そしてそういう思いを、最後の詞で、好きな人と会えずに悲しんでいるすべての女性の思いへと結んでいるのかもしれません。

宇多田は光を求めて踊っているようにみえます。たったひとりであるということ。最初に映像をみた時に考えたことはそういうことでした。しかしPVを何度もみていると、歌詞の内容を全身で表現しようとしている宇多田ヒカルがいました。

音楽とともにあるもののうち、踊ることは最も古来から近くにあるものです。踊ることは歌や言葉の意味と同じぐらいの感情の表現であり、だからこそ歌詞の意味と踊りと歌と音楽で、何かのメッセージを伝えることができます。 宇多田は身体で歌を表現してみたかったと言います。踊りの中に意味を見出すことは難しいものですが、彼女の歌詞が非言語的な領域で表現されていることがよくわかります。

宇多田自身はアーティストとしてこれからも多くの人を感動させていくことでしょう。闇の中でもがくような彼女の姿。けれど、その先には光もみえています。本当の音楽とは表現する人の心の投影であり、その歌が響く時、そこにひとりではないという現実が生まれるのだと思います。

彼女の表現には本物の歌姫が持つ、時代を反映した表現が宿っていると思います。その意味をすべて言葉であらわすことはできません。しかし愛しているということが美しく心に響くよう、彼女は踊っているような気がします。