歌詞の意味を解釈

それでは、「午夜の待ち合わせ」の歌詞を見ていきましょう。

アニメOPではうまく決められた時間に合わせて継ぎ接ぎされていますが、実は案外長い歌詞です。

フルサイズでも3分程度の曲ですが、内容は濃いですね。

まるでちょっとしたショートストーリーのようです。

弾丸込めた小銃を 僕は片手に持っている
震えた君の入る場所へ 足を早め向かっている

出典: 午夜の待ち合わせ/作詞:シュンタロウ 作曲:シュンタロウ

最初、アニメOPで聴いた時には、「弾丸込めた焼酎」だと思っていました(笑)。

それはそれで、何かすごそうじゃないですか?爆発力とか。

しかし持っているのはハンドガンのようです。

もちろん既に弾丸を充填済みの、いつでも撃てるようになっているもの。

不安にさらされているらしい、大切な人のもとに急いで向かっている様子が描かれています。

チクタク 針はチクタクと
焦る心を急かしただけ
チクタク 針はチクタクと
留まる気配もなく 進んでいく

出典: 午夜の待ち合わせ/作詞:シュンタロウ 作曲:シュンタロウ

時計の秒針の音というのは、眠る前などには特にそうですが、一度耳についたら気になって離れないですよね。

「明日は早いから早く寝なきゃ」と思っている時に限って眠れなくなってしまって、時計の針が進んでいくことに焦らされた経験のある人も多いのではないでしょうか。

そんな焦りと、それでも無情に進んでいく時間の対比が、余計に心配を煽ります。

誰の温度もない部屋で
冷え切った手を伸ばしてる
塞いだ僕のいる場所は
誰にもわからない

出典: 午夜の待ち合わせ/作詞:シュンタロウ 作曲:シュンタロウ

アニメOPでは削られた、変則的な部分です。

しかし、歌詞は非常に興味深いですね。

一人ぼっちの部屋は、誰の温度もなくて寒く、「僕」が冷え切った手を伸ばせるほどの広さと心細さを感じさせます。

塞ぎ込んでいる「僕」のいる場所は誰にもわからない……自分ですら本当はわからないのかも

閉口して 僕は待っていた
笑えるほどの 悲しみを
閉口して 僕は待っていた
涙するほどの 幸福も

出典: 午夜の待ち合わせ/作詞:シュンタロウ 作曲:シュンタロウ

このサビの部分は、コーラスの入り方のせいもあってか、「Hey!!こうして僕は待っていた」とも聞こえます

「閉口」には、文字通りに「口を閉ざして何も言わない」という意味がありますが、他にも深い受け取り方があります。

「手に負えず、どうしようもなくて困ること」「言い負かされたり圧倒されてしまったりして、言葉に詰まってしまうこと」などです。

どれに当てはめても良さそうですが、どうしたって辛そうですね。

悲しいと笑ってしまい、幸せだと泣いてしまうくらいですから。

チクタク チクタクと
騙し騙しの日々を
チクタク チクタクと
進まない僕を
チクタク チクタクと
責め立てるように
チクタク 針はチクタクと
全て重なった

出典: 午夜の待ち合わせ/作詞:シュンタロウ 作曲:シュンタロウ

自分を騙しながらなかなか進まない日々を、時計の針は責め立てるように刻んでいきます。

そして、全てが重なった時に……。

閉口して 僕は待っていた
薄暗い部屋 一人きり
閉口して 僕は待っていた
ドアを蹴破る その音を
閉口して 僕が待っていた
薄暗い部屋 一人きり
閉口して 僕が待っていた
もう恐れることはないよ

出典: 午夜の待ち合わせ/作詞:シュンタロウ 作曲:シュンタロウ

やっとわかりました。

銃を片手にした「僕」が向かっていた場所は、弱い「僕」が一人で待っている薄暗い部屋だったのです。

そしてようやく自分の心のドアを蹴破って、「もう恐れることはないよ」と告げます。

弾丸込めた小銃を持って
固く閉ざされたドアを蹴破った
吸い付いた銃口が跳ねて 昨日の僕を貫いた

おやすみ その絶望を受け取って
明日への僕は歩き始めた
また今夜 待ち合わせよう

出典: 午夜の待ち合わせ/作詞:シュンタロウ 作曲:シュンタロウ

今日の「僕」が昨日までの弱い「僕」を撃ち抜きました。

そして「おやすみ」と告げて、その過去の「僕」の絶望をきちんと受け取って、明日へと向かって歩き始めます

それでも毎日積み重なっていく、痛みや辛さ、苦しみや悲しみという「絶望」。

だから言うのです。

「また今夜待ち合わせよう」と。

そしてまた過去の自分を殺して新しい明日へと向かっていく。

単純な繰り返しではなく、そうやって少しずつながら人間は成長していくのでしょう。

それは夜ト──神様でも同じなのかも知れません。

まとめ

MVをご覧いただいていればおわかりかと思いますが、曲調は変速リズムが多かったりして、結構難しいです。

カラオケで歌うには、かなりの覚えこみが必要かも知れません。

テレビサイズバージョンだったら大丈夫そうなんですけどね(笑)。

ちなみにタイトルにある「午夜(ごや)」というのは、夜の12時を指す言葉です。

真夜中とか、夜半という言い方もしますね。

しかしここで敢えて、深夜でも真夜中でもなく、「午夜」という一見古風で耳慣れない言葉を選んだのは、アニメの世界観を考えてのことでしょうか?

それとも、そんな深い言葉の選択までもが、このバンドの持ち味なのかも知れませんね。

音源だけではわからないHello Sleepwalkersの魅力に触れるために、ライブに足を運んでみたい気分になります。

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