「君」の「愛しい」という言葉が信じられない「僕」。

それは、「僕のナニを指すのだろう」と疑ってしまうのですね。

その理由は、「僕を僕たらしめるものが何なのか」ということに自信が持てないからですね。

「僕の何が残っていれば僕」なのかということは、裏返せば「僕」の何を好きになってくれたのだろうという疑問でもあるのでしょう。

最初は突き放すような歌詞もありましたが、自分には誰も興味がないだろうと思っていたり、この部分の歌詞であったりと、

自分のことがあまり好きではない「僕」像が見えますね。

それでも「僕」が好きで、そばにいてくれる「君」。

二人はどうなってしまうのでしょうか。

続きを見ていきましょう。

想いを確かめたくても、君はもう確かめられないところへ

あなたの想い確かめたくて 今日も一人で追いかけるよ
届かないとは知っているけど だからあの時は泣いたんだ

だけどその言葉の何処かに あなたが隠れているのならば
無理矢理でもその点と点を 繋げて あの星座みたいに
その心の形を分かった気にさせて

出典: ソクラティックラブ/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎

いつも「僕」が好きになれない「僕」を愛してくれた「君」はもう側にはいないのでした。

「君」が「あなた」に変わっているのは、もう「僕」の記憶の中にしかいないからでしょう。

「あなたの想い確かめたくて 今日も一人で追いかけるよ」、「 届かないとは知っているけど だからあの時は泣いたんだ」という歌詞は、

もう自分の想いの届かないところに行ってしまうとわかったからこそ、「あの時は泣いた」という歌詞は、

「僕」が「君」の望んだ答えを出す前に「君」が亡くなってしまったということなのでしょう。

今となっては「僕」の想いが届くことも、「君」に想いを確かめることもできないとわかっていても、思い出の中の「君」の「言葉の何処かに」、

心「が隠れているのならば 無理矢理でも」途切れ途切れの記憶を「星座」みたいに「繋げて」「その心の形を分かった気に」なりたいと思うのでした。

星になってしまった「君」の心を自分の記憶の断片から探すしかない「僕」の想いに切なくなりますね。

最後の歌詞に隠された言葉とは...!?星座をつなぐと...!!

ペガサスも孔雀もオリオンも 言われたってんなの分かんないよ
乙女も牛もヤギもコンパスも どれ一つそうは見えないんだよ
あのあたりが時計の針だって どっから見ても無理があんだろう
もしもあれが双子の一人だって 言うならば俺はもう何にだって…

出典: ソクラティックラブ/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎

星を見せられてあれがあの動物の星座ですと言われても、そうは見えないと思うもの、ありますよね。

この部分の歌詞では、大切な人を失って、星を繋いで星座を作るように、記憶の断片を繋いでその心を見られないかと考える「僕」の姿が描かれていましたが、

きっと記憶の断片を漁って無理やり繋いだところで、それが「君」の心だとは思えないということが星座に重ねてあるのでしょう。

また、挙げられている星座は、無造作に並べられているわけではないんです。

最初に挙げられた「ペガサス」「孔雀」「オリオン」を繋ぐと、"L"という字に、次の「乙女」「牛」「ヤギ」「コンパス」を繋ぐと"O"という字に、

「時計の針」の形が"V"という字に...ここまでくるとわかりますよね。

双子座の半分の形は"E"になっているのです。

つまり、記憶のどこを探してもどんな記憶を繋いでも、「君」がいた記憶からは、愛しか見つからないのでした。

あんな一件バラバラの星ですら、動物や神になれるのなら、自分も何にでもなれるのではないか、星になった「君」の元にも行けるのではないかと思ったのです。

ここまで上手く星座を例えて、さらには文字を作ってさらにその意味を深めていくところに野田洋次郎の凄さを感じずにはいられませんね。

おわりに

RADWIMPSの「ソクラティックラブ」を紹介しましたが、いかがでしたか?

なかなか誰かを信じるのが難しいという人もいるとは思いますが、いつか死がやってくる人間に生まれた限りは、

いつ失うかわからない大切な人にできるだけの想いを伝えたい、そんなことを思わせてくれる歌詞ですね。

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