「女は抱かれて鮎になる」作詞:荒木とよひさ作曲弦哲也

ではさっそく、この歌の歌詞から歌の真意を紐解いてみましょう。

女は心で泣いている

風が鳴く 雲が啼く
霧に隠れて 山が哭く
恋に疲れた 旅ならば
心はとっくに 泣いている

出典: 女は抱かれて鮎になる/作詞:荒木とよひさ 作曲:弦哲也

この歌は失恋し疲れきった女性の傷心旅行を歌っています。

人里離れた奥深い山の麓にある旅館にでも宿泊したのでしょうか。

「恋に疲れた旅ならば 心はとっくに泣いている」

多分、これまでに散々泣きはらしたのではないでしょうか、これ以上流す涙もないほどに……。

心はとっくに泣いている、つまり流す涙はないけれど心でずっと泣いているのです。

別れた男が忘れられない

湯煙りの 日暮れ里
蝉しぐれ かくれ宿
一日分の 悲しみを
洗い流して 拭きとるけれど
渇き切れない 洗い髪
あなたを今も 恋しがる
抱いて 抱いて もう一度
抱かれりゃ 鮎になれるから

出典: 女は抱かれて鮎になる/作詞:荒木とよひさ 作曲:弦哲也

旅の疲れ、恋の疲れを流すために温泉に入りましたが、そんなものでは流しきれないのです。

一人になってみたものの、男のことを忘れることができません。

「抱いて抱いてもう一度 抱かれりゃ鮎になれるから」

ここに登場する鮎とは、魚のことを指しているのではありません。

比喩的表現だからより官能的

驚いたことに大御所作詞家・なかにし礼先生歌詞の中でを使われています。

曲は石川さゆりの大ヒット曲「風の盆恋歌」です。

私あなたの 腕の中
跳ねてはじけて 鮎になる
この命 ほしいなら
いつでも死んで みせますわ
夜に泣いてる 三味の音

出典: 女は抱かれて鮎になる/作詞:荒木とよひさ 作曲:弦哲也

「女は抱かれて鮎になる」を作詞した荒木とよひさ、そして「風の盆恋歌」を作詞したなかにし礼、ともに女性を鮎にたとえています

もしかしたら女性=鮎は、演歌の決まりごとなのかもしれません。

男女の営みを鮎にたとえるなんて、演歌ならではの世界観ではないでしょうか。生々しい男と女の色恋より、鮎にたとえるほうがずっと官能的ですね。

演歌の歌詞は奥深い

女は抱かれて鮎になる(坂本冬美)の隠された歌詞の意味を徹底解釈!ドラマEDにもなった今作を紹介♪の画像

いかがでしたでしょうか。

「女は抱かれて鮎になる」タイトルだけみると唐突すぎて何だかよくわかりませんが、歌詞を紐解いてみると大人の恋、大人の愛、実に官能的な世界を描いているのです

これは日本の演歌の特徴でもあります。男女の生々しい色恋を、抽象的に比喩的に描くことでより一層官能度を増しているのです。

アイドルが歌うポップな曲、人気バンドが歌うロックとは違う、これこそ演歌なのです

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