サボテンのシーンは一度だけでしたが、このバイクのシーンは何度も登場します。
しかもバイクに乗ったフリの2人は、そのまま空中へ。
当然のようにふわ~っと飛んでいってしまい、見ているこちらは置いていかれた気分です。
しかし交差点があるところでは、ちゃんと地上に降りてくる2人。
そして、そんな2人を眺める山田貴洋と喜多建介。
MVの終盤では、後藤正文が扇風機の風を浴びながらバイクに見立てた白い箱に跨っています。
その白い箱を喜多建介がカメラに向かって回転させて……。
これにはいったい何の意味が……なんて言葉はナンセンス。
意味なんてあってもなくてもどっちでもいい。
そのことに、サボテンのシーンのとき既に気付いたはずです。
ただ、歌詞と照らし合わせてみると、まったく曲と無関係の映像というわけでもないみたい……。
「交差点の向こう側」には何があった?
最初のバイクのシーンのとき、歌詞では「君に跨って~」と歌われています。
それ以降の歌詞でも、エンジンやバッテリーというバイクに関係する言葉が……。
また交差点で地上に戻ってくるシーンのときには、「交差点の向こう側」と歌われます。
バイクに乗った2人は、無事に「交差点の向こう側」にたどり着けたのでしょうか?
そして、その場所には何があったのか。
MVの中で、それらの答えが明かされることはありません。
しかし歌詞を読む限り、バイクのエンジンやバッテリーは「彼のことを思い出して」決めた様子です。
それなら、「交差点の向こう側」にいたのは「彼」だったのかも。
明確な答えが示されなくても、歌詞から未来や世界を想像することができますね。
厄介で愛おしい「ホームタウン」
「ホームタウン」に広がる景色
MVの不思議な雰囲気は、無秩序で無茶苦茶。
それが「ホームタウン」に広がっている景色なのでしょう。
思い出や郷愁といった綺麗なものも確かにあるけれど、それだけではない。
「ホームタウン」には、消したい過去や無意味なものまで、自分たちのすべてがあります。
ごちゃごちゃとしていて、無性に飛び出したくなるときもあるでしょう。
しかし、そこは唯一自分たちを待っていてくれる場所でもあります。
美しいものだけではないけれど、捨てたくない記憶。
それをため込んでいるから、「ホームタウン」にはシュールな景色が広がっているのかもしれません。
水たまりにうつる街
歌詞に「雨上がり」という言葉があるように、MVにも水たまりができているシーンがあります。
雨に洗い流されても、「ホームタウン」に広がる景色はいつもと同じ。
しかし、地面の水たまりにうつった「ホームタウン」は、いつもより少しだけ綺麗に見えるかも。
視点を変えれば、景色も変わる。
そんな曖昧さも含んでいるのが「ホームタウン」なのでしょう。
降り続いていた雨が上がったなら、自分を包み込んでいる街を水たまりの上から見下ろしてみませんか?
自分の後ろに広がる景色を絶景とは呼べなくても、きっと愛着はあるでしょう。
良い思い出も悪い思い出も、すべてがここにある。
だからこそ、ときに厄介で、ときに愛おしい。
「ホームタウン」には、そんな想いが込められているように思います。
最後に
帰る場所。待っていてくれる人。
それは、自分を現実に繋ぎ止めてくれる絆なのではないでしょうか?
その絆を枷(かせ)のように感じることもあるかもしれない。
しかし、旅というのは帰る場所がなければできません。
「ホームタウン」は、きっと人生という長い旅を続けていくために必要なものなのでしょうね。
自分なりの歌詞解釈をしよう
深い想いと大きなエネルギーを感じられるアジカンの楽曲。
聴けば聴くほど、アジカンが持つ不思議な力に魅了されることでしょう。
簡単には解釈できない歌詞だからこそ、アジカンの曲は深く読み解きたくなります。
何度も何度も曲をリピートして、自分なりの歌詞解釈をしてみてください。
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