考えてみれば、音楽もまた、そのような愛を注ぐ対象の一つとなりうるものではないでしょうか。

街中で、インターネットで、そしてテレビやラジオで。

ふと耳にした曲を気に入ったという経験はありませんか。

そんな時、私達は「この曲いいなあ」と瞬間的に思うものです。

「こうだから好き」ということを考えるまでもなく。

そしてそれが生活や人生の役に立つか立たないかといったことなども、考えるまでもなく。

「好き」は、幸せ

けれどそんな「好き」という気持ちは、人生を豊かにするものです。

好きこそものの上手なれ、ということわざもある通り、好きだからこそ極められることがあります。

好きな人やものをきっかけに、知見や見聞が広がったり、経験を積むことができることもあります。

もちろん、ただ「好き」という気持ちを抱いているだけであっても。

心を震わせ、愛を注げる対象があるだけでも、十分幸せな人生と言えるのではないでしょうか。

車だけにとどまらず

つくるんだ 君と僕の歌を
あなたの歌を 車の歌を

出典: And I Love Car/作詞:奥田民生 作曲:奥田民生

この曲の最後のフレーズでは、車以外の歌も作るということが示唆されています。

愛を注ぐ対象は車には限らない、そう嘯いているようにもとれます。

しかし恐らく、こめられているのは、それだけではないでしょう。

この曲で示される愛の形が、車に対するものだけにとどまらないことを示しているのではないでしょうか。

好きになるとは、そんなこと

「君」や「あなた」は人間を指すようにも思えます。

しかし私達は、好きなものを擬人化して呼ぶこともあります。

人間ではなくとも、好きで大事なものだからこそ、尊重してそういう呼び方をすることもあるでしょう。

つまりこの曲は、何かを好きになること、愛すること

それが曲の主人公にとって(または恐らく、作者にとって)どういうことか

それを、車を例えに描いているのかもしれません。

いいだろ?好きなんだから

だけど好きなんだ いいだろ

出典: And I Love Car/作詞:奥田民生 作曲:奥田民生

短くも印象的な、このフレーズ。

きっとこの気持ちは彼にとって、車に限らず、愛する全てのものに当てはまるのでしょう。

理由などない、けれど、だからこそ心が動くという、得難い経験。

それをさせてくれるものに対しての、賛歌なのです。

そしてそんな経験は、恐らく多くの人にも当てはまるもの。

だからこそ、短いながらも時代を越えて愛される曲になったのかもしれませんね。

奥田さんの曲の中にはそんな、強い気持ちが横たわりつつも爽やかに響く曲がたくさん。

他にもぜひ聴いてみてください。

2019年の夏フェスで録音・発表された「ライジングサン」。曲やイベントにかける爽やかに熱い思いを、歌詞からひもときます。

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