なつかしい人々 なつかしい風景、その総てと離れても あなたと歩きたい
嵐吹く大地も 嵐吹く時代も
陽射しを見上げるように あなたを見つめたい
出典: 麦の唄/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき
この曲は「マッサン」のヒロイン・エリーの視点から描かれているような歌詞が随所にあります。
「なつかしい人々、なつかしい風景」というのは、エリーにとっての故郷スコットランドのことですね。
「すべて」という言葉を、完全という意味の「全て」ではなく、多くのものを集めてまとめる「総て」という文字を使っています。一つ一つの思い出が麦の様に集まっていることを表現しているのではないでしょうか。
自身が慣れ親しんだ世界で平和と安心に包まれて生きていくのではなく、どんな過酷な状況であったとしてもあなたの側がいいと歌っています。
とても大きな愛を感じることが出来る歌詞ですね。
麦に翼はなくても 歌に翼があるのなら
伝えておくれ故郷へ ここで生きてゆくと
麦は泣き 麦は咲き 明日(あした)へ育ってゆく
出典: 麦の唄/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき
「歌に翼がある」というのは、歌には国境がなく何処までも飛んでいくイメージでしょうか。
例えば、日本人なら誰でも知っている「蛍の光」はスコットランドの「オールド・ラング・サイン」という曲がもとになっています。
国を超えて伝わったこの曲の様に、はるか遠くにいる故郷へ「ここで生きてゆく」と決意したこの思いをを届けてほしいと歌っているわけです。
サビではつらいことや嬉しいことを繰り返しながら、未来へ向かっていく人を「麦」にたとえて、育っていくと表現しています。
大好きな人々 大好きな明け暮れ
新しい「大好きを」 あなたと探したい
私たちは出会い 私たちは惑い
いつか信じる日を経て 1本の麦になる
出典: 麦の唄/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき
「大好きな人々」は、故郷ではなく遠く離れた土地で出会った人々のこと。
「大好きな明け暮れ」は、朝から晩まで熱中したウイスキーのこと。
ドラマのエリーは、日本人よりも日本人らしいといわれていましたね。
激動の日本では、強い風当たりもあったでしょう。それでも、「嫌い」ではなく「大好き」を探したいという前向きな心を表現しています。
「1本の麦になる」は、2人で生きていく。育つときも倒れるときも一緒だという一蓮托生の思いが感じられますね。
空よ風よ聞かせてよ 私は誰に似てるだろう
生まれた国 育つ国 愛する人の国
麦は泣き 麦は咲き 明日へ育ってゆく
出典: 麦の唄/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき
血のつながりはなくても長年連れ添った夫婦の顔が似ていたり、飼っているペットと似てきたり、大好きな友達と似てきたりします。
愛するべきものと一緒にいることで、似てくるんですよね。
泥に伏せるときにも
歌は聞こえ続ける
「そこを超えておいで」
「くじけないでおいで」
どんなときも届いて来る
未来の故郷から
出典: 麦の唄/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき
「泥に伏せるとき」は、踏みつけられて倒れてしまった時。「もうだめだ」と諦めそうになった時のことでしょう。
そんな時にその困難を乗り越えて進んだ先にいる未来の自分からの応援歌が届いているわけですね。
麦に翼はなくても 歌に翼があるのなら
伝えておくれ故郷へ ここで生きてゆくと
麦は泣き 麦は咲き 明日(あした)へ育ってゆく
出典: 麦の唄/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき
そしてサビは繰り返されます。
困難に立ち向かい、すぐそばにある明日(あした)に向かう小さな一歩を繰り返しているように感じますね。
麦は、踏まれて強く育つと言われています。寒さにも負けず、踏まれてもまた這い上がり太陽に向かってまっすぐ伸びていく。
どんな困難でも負けないでというメッセージが込められた歌ですね。
まとめ
いかがでしたか?
「麦の唄」は中島みゆきの優しく包み込むような歌声、そしてどんな時にも前を向いて頑張っていこうと思える歌詞で背中を押してくれる名曲です。
「唄」という漢字は民謡や俗謡のことを言います。生活の中で唄い、後世にも残っていくようにという気持ちが込められているのではないでしょうか。
壮大なスケールで唄われる「麦の唄」。人生に悩んだ時、苦しくなった時に聴いてほしい1曲です。
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