過去になる思い出
君を傷つけた
センチメンタルな気持じゃ悔んでばかりだよ
僕はなんてまぬけな男だったろう
君にはもう許されることもない
出典: 傷つけた人々へ/作詞:尾崎豊 作曲:尾崎豊
今彼が抱えているのは、感傷に浸るような気持ち。
そしてその気持ちというのは、「君」との別れが原因なのでしょう。
2人の関係性をやり直したいというよりも、彼女に対してもっと真摯に向き合っていればという後悔なのかもしれません。
そしてそんな後悔によって、彼は自分のことを卑下しています。
3行目の歌詞は、そんな自分が原因で彼女を傷つけてしまったことを意味しているのでしょう。
彼女を傷つけてしまったことに対しても、彼の心に後悔が押し寄せているのだと考えられます。
君との思い出
僕の幾つもの思いが 指のすきまからすべり落ちてゆくよ
僕が傷つけてしまった君の涙の様に
出典: 傷つけた人々へ/作詞:尾崎豊 作曲:尾崎豊
ここでいう彼の「思い」というのは、「君」との今までの中でもたらされた想いを意味しているのでしょう。
別れによって今までの思い出を振り返っているのだと考えられます。
そしてその時に感じた気持ちも同時に思い出しているのでしょう。
しかしながら、2人が別れてしまえばそんな思い出の中の感情も、過去のものになってしまう。
そのことに彼は切なさを感じているのでしょう。
彼はまだその感情を抱えていたかったからこそ、1行目のような表現になっていると考えられます。
2行目では主人公がその自分の気持ちが、「君」の涙と呼応するかのように感じていることが分かる歌詞です。
2人の結末と未来
別れの台詞
使い古しの台詞 また口にしておどける僕は
今度こそは 本当に ひとりぼっちになってしまうよ
何も言わないで
出典: 傷つけた人々へ/作詞:尾崎豊 作曲:尾崎豊
1行目の「台詞」というのは何を意味しているのでしょうか。
この楽曲が男女の別れを題材としていると考えれば、幾つか在り来たりな台詞も浮かんできます。
ここで主人公が言ったのは、「またね」や「元気でね」といった台詞なのではないでしょうか。
しかし、2行目では主人公の心中が穏やかではないことが分かります。
笑顔で前向きな台詞を彼女に言いながらも、その別れによって自分の孤独が深まることに悲しみを覚えているのでしょう。
だからこそ、彼は3行目にあるように彼女が黙っていてくれることを望んでいます。
彼女から何か言われてしまえば、1人になった時その言葉を思い出してしまう。
それによって彼は自身の孤独がさらに色濃くなると感じているのでしょう。
愛をなくしても
愛という言葉はなくても ひとりで生きてく訳じゃない
小さなプライドなんかで 傷つけあっても
きっと君に優しさ戻るだろう
出典: 傷つけた人々へ/作詞:尾崎豊 作曲:尾崎豊
ここでは別れの後の彼女のことを想像している主人公の心情が描かれています。
別れを告げられた側はその時は大きく傷つきますが、自然とその傷は癒えていくものです。
案外、別れを告げた側の方が大きなダメージを受け、主人公のように引きずってしまうということもあるでしょう。
今自分が傷つけた「君」も、いつかまた傷つく前の彼女に戻るはず。
だから彼女は決して今後も1人になるわけではないといいたいのでしょう。
2人の間にあった愛が無くなったとしても、また新しい愛を見つけられる。
3行目の「優しさ」というのは主人公に対して今まで注いでくれた、特別な種類の「優しさ」を意味していると考えられます。
それは大切な人にだけ注がれる類のものなのです。
傷が癒えた頃に「君」はまた新しい大切な人を見つけると彼は分かっているのでしょう。