「思い出とはなんですか?」 とあなたに聞かれた僕
あったかくて 懐かしくて 優しいものと答える僕
「思い出とはなんですか?」 とあなたに聞かれた僕 あったかくて 懐かしくて 優しいものと答える僕
けどきれいなものに流されて 思い出の中ばかり生きる
それじゃなんのための今なの? 思い出に浸るための今なの?
出典: 「ずっと大好きだよ」「ほんと?…」/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
「ぱっぱぱらぱ~」と軽快なイントロから始まったこの曲ですが、次に続く歌詞でまず心をグサっとやられます。
たしかに思い出に浸るのは心地いいものですよね。
筆者も、現実が辛い時ほど、思い出に逃げ込みます。
しかし、その後の言葉「なんのための今なの?」という素朴な疑問は矢のように心に刺さります。
「思い出に浸るのは心地いいよね。けど、それじゃ何のための今なの?ちょっと考えようよ」と穏やかなサウンドにのせて、曲の初っ端から野田の言葉は私たちの心に衝撃を与えます。
「いつまでも」が本当なのかは、誰にも分からない
君が僕をいつまでも好きでいてくれると言うのなら
こんな歌はいつまでも歌わずにすむのになぁ
君が僕といつまでも一緒にいれると言うのなら
ほんとに僕はいつまでも君を好きでいられるのになぁ
出典: 「ずっと大好きだよ」「ほんと?…」/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
「いつまでも」と言ってくれたとしても、未来のことは誰にも分かりませんよね。
もし、本当に「いつまでも」が約束されるのなら、私たちは安心して生きていくことができますが、それではこの歌は存在しません。
歌のタイトル「ずっと大好きだよ」「ほんと?…」の通り、私たちは「相手の言葉は本当だろうか?」と悩み苦しみながらも、その気持ちを歌で紛らわせながら生きているのでしょう。
永遠とは悲しいもの?
「永遠とはなんですか?」 とあなたに聞かれた僕
悲しくて 悲しくて 言葉が出なくなっちゃう僕
いつまでも いつまでも 生きてゆくことだと言う僕
そんな悲しい思いはしたくないという君
出典: 「ずっと大好きだよ」「ほんと?…」/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
この曲を作詞した野田は「永遠」を悲しいものだと考えているようです。
どうしてでしょうか?
筆者はこのように考えます。
永遠とは理想であり、現実には存在しないものです。
人生にも恋愛にも必ず終わりがきます。
だからこそ、限りある人生を必死に生きること、そして、今この時の気持ちを大切に愛する人と過ごす、この瞬間が美しい。
作詞を担当した野田は、この曲でそんなことを伝えたかったのだと筆者は思いました。
そんなことあり得ないって知っている
永遠など信じちゃえば 信じちゃうほど悲しくなるのは分かっているけど
君との別れなど時の軸から遥か彼方のどこかへ飛ばしたくなる
出典: 「ずっと大好きだよ」「ほんと?…」/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
永遠などあり得ない、分かっている、でも信じたい。
10代のピュアな心は、永遠の存在を否定する気持ちと願う気持ちで揺れ動き、愛する人といつか別れが来ることを信じたくない気持ちでいっぱいのようです。
それでも祈らずにはいられない
どうか どうか 時よ二人の愛を運んでくれよ
いつか いつか 別れが来るなんて忘れさせてよ
どうか どうか 時よ二人の愛を運んでくれよ
いつか いつか 別れが来るなんて忘れさせてよ
出典: 「ずっと大好きだよ」「ほんと?…」/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
同じ歌詞を2回繰り返すサビには、野田の心からの祈りが込められているように思えます。
「永遠」という叶わぬ理想を「どうか どうか」と願う気持ち、「いつかの別れ」に怯え、忘れたいと願う気持ちがストレートに表現されたこの曲のサビもまた、私たちの心をとらえて離してくれません。
まだ人生経験の浅いはずの10代の若者が、こんなにも人の心を揺さぶる歌詞を書いてしまうことに、筆者は野田の才能の凄さにただただ驚かされました。