強がる反面、求める心
二人のこのHistory・・・ちょっとした寄り道なの
心はまだMystery・・・抱かれた夜の数だけ流した涙
出典: Black Cherry/作詞:林保徳 作曲:林保徳
人生全体を1つの物語と考えてみましょう。
生涯を共にできる相手を見つけ、その人を愛し抜く。これはメインストーリーですね。
ではそれに対して、禁断の果実的存在である彼との恋愛は…?
歌詞中では「寄り道」と綴られているこの出来事。つまり完全にサブストーリーだといっているわけです。
この恋愛がどうなろうと、自分の人生には何の影響も与えないわ。
そんな余裕そうな態度でおすまし顔の主人公ですが、反面2行目では本心を覗かせています。
あなたの存在なんて、大したことなかったはずなのに…。
寂しさの埋め合わせで近寄った彼との時間が、徐々に心を支配していく様子が目に浮かびます。
様々な感情の狭間で悶える主人公の辛い気持ちが伝わってきますね。
大きくなる彼の存在感
違う気配に苛立つ主人公
赤いRouge シャツの襟
言葉を飲み込み口づける・・・・
インカントシャイン 私じゃない香り
知らない・・・腰使い
出典: Black Cherry/作詞:林保徳 作曲:林保徳
ただのお遊びのつもりで一緒にいた彼との時間は、徐々に主人公の中で大きくなっていきました。
寂しさを埋め合わせてくれる彼のことなんて、本当は興味がなかったのです。
しかし一緒に過ごした短い時間の中で、主人公は彼の虜になってしまいました。
だからこそ、本来であれば口出しすべきでないことが気になってしまうのです。
インカントシャインはイタリアのファッションブランド、サルヴァトーレ・フェラガモのフレグランスのこと。
自分ではない誰か、他の女性の移り香を感じた主人公は女のカンを働かせます。
単刀直入にいえば自分以外の女性の存在を察したということ。
でもそのことを彼には言えません。
それは彼が自分の本命ではないのと同時に、自分も彼にとって本命ではないことを理解しているから。
強気だった前半とは打って変わって、急に控えめな態度を見せ始めました。
彼の魅力はまるで…
まだEcstasy Replicate
折れた羽根を震わせながら・・・
透明なScandal 噛み締めた唇
Slowmotion 刻み込まれ・・・
出典: Black Cherry/作詞:林保徳 作曲:林保徳
Ecstasyは絶頂、Replicateは折り返しや反復を意味します。
つまり「とてつもない快感が繰り返されている」ということ。
まだ絶頂の途中で関係を終わらせるのは早いということでしょうか。
さらにEcstasyという単語、実は錠剤型の麻薬という意味も持っています。
麻薬に溺れてしまうのと同じように彼と過ごす時間に依存しかけている…そんな様子も想像できますね。
彼に近づいたときの主人公は、完全に自分が優位に立っていると思い込んでいました。
彼を自分の掌の上で転がしてやる!そんな気持ちさえあったのかもしれません。
しかしいまでは完全に立場が逆転しています。彼の術中にはまった主人公は、もう抜け出せません。
ギリギリのところで
Don’t stop kiss me! 離れられない・・・・
Don’t stop kiss me! でも許せない・・・・AH~中に出して!
出典: Black Cherry/作詞:林保徳 作曲:林保徳
彼の魅力に溺れ理性を失いかけている主人公ですが、まだギリギリのところで抗っているようです。
彼のことをどうしようもないくらい愛おしく感じている自分。
そして自分のことをまるで麻薬中毒者のように溺れさせた彼へ苛立ちを覚えている自分。
激しい葛藤の末、主人公は完全に彼に身も心も委ねてしまいました。
ここは愛と憎しみ、そして快楽と背徳の間で揺れる主人公の叫びとも捉えられそうです。
もう強がれない
Black Cherry・・・濡れて落ちて
私の中へ種を残して!
愛さなくていいよ・・・愛してないから
こんなに惨めにして!
禁断のTerritory・・・ずっと抜け出せなくなって
感じるBlack Cherry・・・kissの感触ちょっと忘れられない
出典: Black Cherry/作詞:林保徳 作曲:林保徳
1-4行目は前半に登場した歌詞と全く同じ言葉で綴られています。
しかし前半に感じられた彼女の強気な姿勢は、もうここでは感じられません。
さらに続く5-6行目では、もう抗う気力さえ残っていない様子が描かれています。
ちょっと遊んですぐ離れるつもりだったのに…。
そんな計画は簡単に崩れ去り、まだこの先もずっと一緒にいたいと願っているかのようですね。