すべては名曲「黒くぬれ」のオマージュ
甘いワナにはまってしまった私
かなりヤバイ状態になってる
甘いワナ・本気と言わないあなた
洗いざらい白状しあおう
出典: 甘いワナ~Paint It, Black/作詞:宇多田ヒカル 作曲:宇多田ヒカル
輝いていた恋愛になぜ「Paint It,Black」という副題がついているのかようやく明らかになります。
男性は自分から少女を口説き落としていながら、この恋愛に対して本気であるとはいいません。
少女はこの点の不信感を罠と表現していたのです。
しかしすでに見たように少女は男性にぞっこんでしょう。
理性では騙されているのかもと疑うのですが、発車した恋心を止めることができません。
「やばい」
自身の恋愛に向かう本能を制御できなくなっているのに本気の恋なのかどうかいつも誤魔化されている。
確かにこの恋愛はどこかフェアでない要素を含んでいます。
男性はあどけない瞳を持っていますが、心の奥底までは晒してくれません。
男性にとってはただの遊びなのかという不信感と、自分の止められない恋心。
この事実が明らかになった辺りでローリング・ストーンズの「黒くぬれ」のメロディが響きます。
ローリング・ストーンズの「黒くぬれ」の歌詞は見るものすべてを黒く塗りたくりたくなるというもの。
すべてのものに「否」といいたてたい気持ちが歌われるのです。
この気持ちは社会を支える成人男女にとっては芽生えないもの。
反抗期の少年少女に固有の心模様でしょう。
宇多田ヒカルは騙されているのではという疑心を足がかりに「黒くぬれ」という名句へと引き継ぎます。
クライマックスに至ってようやく副題の意味が鮮明になりました。
男性の方も覚悟を決めて少女としっかり向かい合って欲しいと願うばかりです。
少女の時代は心の奥底に黒い塊を抱えていて、その黒い流れで世界を塗りたくりたくなるのでしょう。
15歳の宇多田ヒカルが世界に問うたブラックなラブソング「甘いワナ~Paint It, Black」。
過ぎ去りし若い日々の情動や恋を思い出させてくれる名曲です。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
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