秀逸なサビのメロディが切ない
信頼と裏切りは背中合わせ
ひとりで生きてく毎日は 誰からもきっと裏切られない
確かなことなど何もない わかってる でも信じたいもの
出典: SAKURAリグレット/作詞:松尾潔 作曲:中野雄太
ふたりの間にはなにか辛いことがあったようですね。
付き合っているときは楽しいことばかりではなくて、すれ違いや誤解が生まれることもあるでしょう。
ここには”裏切り”という、恋をしている人にとっては聞きたくない言葉が出てきます。
信頼と裏切りは背中合わせですから恋愛は不安定なものなのでしょうね。
ひとりならば傷つくこともない代わりに愛し合っている幸せを感じることもできません。
孤独と愛もまた背中合わせなのかもしれませんね。
愛のない荒涼とした世界
誰かが残してった落書きに
とめどなく涙がこぼれた
今までずっと こんな感情 知らずにきた
さよならも言わないで ただ 人ごみに消えてゆく8月
君が残したものは 浮き沈む この心 turn over
本当の哀しみに まだ 気づかずに過ごしてた12月
君なきこの世界は 広すぎて 見慣れない惑星(ほし)のようです
出典: SAKURAリグレット/作詞:松尾潔 作曲:中野雄太
落書きをしたのは恋愛中のカップルだったのでしょうか。
そこに「好き」とか「Love」という文字があればふたりの仲の良さも想像できるでしょう。
ほんの小さなことで気持ちが揺れ動いてしまうのは失恋症候群みたいなものかもしれません。
これまでそんな経験がないと歌っているのは、こんなに人を好きになったことはないと伝えたいのでしょうね。
2回目のサビの部分ではふたりが別れて時が経っていく様子が歌われています。
「さよならも」で始まる哀愁あふれるメロディが秀逸で、何度聴いても切なく心に響きますね。
あっという間に過ぎていく季節の中で傷ついた心はまだ癒えてないようです。
揺れ動く気持ちを持て余しているうちに夏から冬になり、もう一度深い哀しみを味わうことになる早春へ。
時が心の傷を癒してくれる場合もあるようですが、毎年訪れる桜の季節は容赦なく思い出を呼び覚ますのです。
最後の1行はこの曲の歌詞の中で最も好きな部分で、切なくもお洒落な表現だなと思っています。
愛し合っているときはふたりだけの世界が心地よくて周囲のことはあまり気にならないかもしれません。
それがひとりになってみると自分の周囲には愛のない荒涼とした世界がどこまでも広がっているという哀しさ。
失恋とは本当に切ないものですね。
最後に希望の見えるエンディング
ギターの間奏が切ない想いと後悔を表現する
あの頃のふたりは傷つけあいながら
それが愛と思った 信じこんでいた
今ならば君をまっすぐ愛せるはずなのに
出典: SAKURAリグレット/作詞:松尾潔 作曲:中野雄太
ここでは上手く行かなくなったふたりの仲が歌われています。
ちょっとしたことで傷付いてしまう恋する心は脆いものですね。
普段は仲が良くても、たまにはけんかをすることくらいはあるでしょう。
それがだんだんと回数が増えていってふたりの間には溝が生まれてしまう。
好きなのに、ついきついことを言って後悔してしまうという経験を持っている人がいるかもしれませんね。
「ごめんね」で元通りになるのなら良いのですが、ふたりの心はだんだん離れていったようです。
愛が傷つけあうことだとしたら、こんなに辛いことはありません。
最後の行の歌詞にも「後悔」が表れていますが、もうあのときには戻れないのです。
このあとにギターの間奏が入りますが、切ない想いと後悔を表現する素晴らしい演奏です。
短くまとめたソロの中にはいろいろな想いが込められているかのようです。
春の空 見あげてる私
哀しみをくぐり抜けて 今 歩きだす
出典: SAKURAリグレット/作詞:松尾潔 作曲:中野雄太
辛い別れを経験して今また桜の季節に哀しみにくれる主人公ですが、最後の歌詞には救いが訪れます。
春は別れの季節でもありますが、希望へ向かってスタートを切る季節でもあるのです。
そこには失恋を経験してひとまわり大きくなった自分がいるかもしれないし新しい出逢いがあるかもしれません。
春の空はいつまでも哀しんでいないで前へ進みなさい、と自分を励ましてくれているように感じたのでしょう。
くぐり抜けたのは桜並木でもあり、傷付いた辛い時間でもあるのです。
切なさや後悔だけではなくて希望の見えるエンディングがいいなと思います。
歌詞からは主人公が男性か女性かはちょっと判別がつきにくい曲ですね。
落書きを見て涙をこぼすところは明らかに女性ですが、男性目線の曲でもおかしくないなと感じています。
ツインボーカルというスタイルで男女の心を交互に歌っているのかもしれませんね。
桜の季節にこの曲を聴くと、きっと心に残ると思いますよ。