あなたに出会った不幸を思えば
この先悲しむことなどないさ
きりきり舞いする男を見つめ
心のどこかで笑っているのか
出典: 炎/作詞:阿久悠 作曲:馬飼野康二
主人公の男性は女性の頑ななまでの冷たい外見の裏側にあった「孤独」を見てしまったのです。
その瞬間、男性の心に火がつきました。恋の炎です。
恋はいつも計算通りに運びません。今回の恋によって男性の人生はひっくり返りました。
何が何でも女性の心の中をこじ開けて、自分という存在を認めてもらいたい。
それが叶った時の喜びは、天にも昇る気持ちになるでしょう。
そんな願いが叶うなら、これから起こる事の全てを受け入れられる。
男性は真摯に、そして熱い気持ちでそう思うのでした。
落とせるものなら落としてごらん
一方の女性の方はといいますと、そんな男性の思いを一笑に伏せます。
どうやら女性自身、一筋縄ではいかない覚悟を見せつけるようです。
男性からのアプローチをものの数とも思わせぬ態度を貫きます。
男性を無視し、視線をそらします。笑顔も見せず、ますます頑なになるのです。
そうやっておけば、いずれこの男性も他の男性同様、身を引くだろうと思ったからです。
しかし男性の方は諦めません。相変わらずアタックを続けます。
それを冷ややかな視線で一瞥する女性。心の中では男性に対して何の感情の変化もありませんでした。
男性の覚悟
あなたのためなら道化師になります
アアーアー
一生一度ならピエロも主役さ
あなたの心を溶かしてみせる
出典: 炎/作詞:阿久悠 作曲:馬飼野康二
女性の頑ななまでの冷たい態度。全く開かない心のうち。
確かに一筋縄でいかない相手のようです。男性も相当、狼狽してしまいました。
しかし、ここでくじけていては始まらない。
あの人が一瞬でもいいから笑ってくれるところを見たい。
そう思う男性は、どんな試練にも耐える覚悟です。
女性が気に入ることならどんなことでも嫌がらずやろうと心に決めたのです。
歌詞の中には女性を特定するような部分はありません。
もしかしたら高飛車で世間知らずのお嬢様なのか。
それとも失恋の痛手に懲りて、もう二度と恋などしないと心に決めた女性なのか。
いずれにしても、女性の心が開くまでは道化師に徹して、彼女を喜ばそう。
そう決めた主人上の男性なのです。
わたしの心意気を見せてやる!
アアーアー
恋とは戦いと知らされたからは
炎で氷を溶かしてみせる
出典: 炎/作詞:阿久悠 作曲:馬飼野康二
この歌詞からは男性の決意がみなぎってきます。
つまり、そう決めたからには、やすやすと引き下がらない。
どれだけ女性から冷たくあしらわれようが、ひるむことなくアタックし続ける。
1番の最後の歌詞は、男性が「戦士」となったかのような描写で締めくくられているのです。
ここまでの歌詞の流れを踏まえて想像するに、やはり相当気難しい女性なのでしょう。
心が固く閉ざされ、それは北極海の永久氷壁のように溶けることを感じさせない頑なさを思わせます。
主人公の覚悟は並々ならぬものがあるとはいえ、そう簡単にはことが運ばなさそうですね。
その思いは、2番の歌詞からも容易に拾うことができます。
並々ならぬ女性の頑なさ
さらに殻に閉じこもる女性
あなたの言葉ですべてを失い
迷路をさまよう男になった
真っ赤な唇ナイフのように
恋する男につき立てるのか
出典: 炎/作詞:阿久悠 作曲:馬飼野康二
2番の歌詞の冒頭から、男性が窮地に追い込まれる描写が続きます。
恐らく、しつこくアタックしてくる男性に対して、女性はひどいことを言ったのでしょう。
それもそう簡単に立ち直れそうにないくらい、強烈なのを。
そのせいで主人公の男性も、さすがにしばらく立ち直れないようです。
女性の強烈なガードは、男性の心を刃物で切り裂くくらいひどい仕打ちだったのです。
これからどうやったらいいんだろう?
男性は、いつもの威勢のいい自信が消し飛び、狼狽するだけです。
これが「失恋」という心の痛手なのでしょうか?
それでも主人公は諦めない
あなたをいつかこの手で抱きしめ
この日を待ったと言わせてみせる
それまで冷たい孔雀のように
翼を広げて踊っているか
出典: 炎/作詞:阿久悠 作曲:馬飼野康二