MVの冒頭、状況説明の描写が淡々と映し出されます。
光り輝く湖面、橋の上を走行する電車。
そして郊外の大学病院の個室に横たわる元・天才。
彼は不治の病にかかり残りわずかな人生を病室で過ごしているのです。
短編映画のような映像美が広がります。
MVを監督するのは土屋隆俊氏。
テーマは「輪廻転生」?
「Foolish feat. 元・天才」のテーマはおそらく「輪廻転生」だと思われます。
つまり「没落」を最後に活動を「辞職」したぼくりりの生まれ変わりの物語です。
当然MVにもその世界観が反映されていると思われます。
ぼくりり、もとい元・天才が数時間で書き上げた歌詞と共に内容を見ていきましょう。
ミステリアスな情景描写が意味することは?
屋上で歌う元・天才、しかし...
真夜中だけ開いた博物館
並んでるアイコン
この暗がりのなかで迷子
今日の自分を声で
導いてくれる女神の像
姿は見えない けどもう行けそう
あらゆるイデオロギーから
離れて見世物になることを拒む
出典: Foolish feat. 元・天才/作詞:元・天才 作曲:TeddyLoid
まず屋上で歌う元・天才のシーンを検証します。
時間にしてわずか5秒足らず。
とてもミステリアスな場面です。
瀕死の状態で自立歩行もできない元・天才がのびのびと歌っていること。
刹那、画面が突如ブルーに染まり元・天才の目の前になかったはずのフェンスが現れます。
後にTeddyLoidと共に車椅子で屋上に行くシーンでは四方はフェンスで囲まれていたはずです。
つまり青に染まる前は非現実、その後が現実の投影であることが推察されます。
TeddyLoidは見舞い客ではない?
花びらが 舞う
落ちたあとに気づくように
静かな 夜明けだけが
僕らを待つ
出典: Foolish feat. 元・天才/作詞:元・天才 作曲:TeddyLoid
次に友人役のTeddyLoidが元・天才を見舞うシーンを見てみましょう。
黒のスーツとコート。
まるでお葬式の装いです。
そして2度印象的にクローズアップされる花束にも注目してみました。
お見舞いの定番のガーベラに混ざり綺麗な紫陽花が混ざっているように見えるのです。
青紫の紫陽花の花言葉は「無情」、「辛抱強い愛情」。
とても意味深な使い方がされています。
まるで供花のようです。
もう1つ気になるのが点滴のクローズアップ。
TeddyLoidが部屋に入る瞬間、ポタリポタリと滴っていた点滴が逆流するのです。
これらを総合するとTeddyLoid演じる友人は異形の存在であることが予測されます。
TeddyLoidの役回りは「死神」「陰陽師」の類であると仮定しておきましょう。
病院の屋上に上がる2人
どろりとした思惑みたいなものが
溢れてまた音が鳴る 拒めず
唐突なスリラー
崇高なアートは化物に
ただ獣になる時間は終わり
生半な悪夢じゃ及ばない
出典: Foolish feat. 元・天才/作詞:元・天才 作曲:TeddyLoid
元・天才は車椅子に乗りTeddyLoidと一緒に屋上に向かいます。
色白の肌と血色のない唇。
これはメイクなのでしょうか?
透き通るような青空も今の元・天才にとっては痛々しさを印象付ける舞台装置にしか見えません。
まるで「紫外線(ぼくりりのニコ動ネーム)」に魂を吸い取られるようです。
また、屋上シーンでカメラは3つの視点を捉えます。
ピンボケしたように像をなさない映像、クリアな視点。
そして2人を背後から見つめる視点です。
ぼやけた視界は元・天才、そしてクリアな映像はTeddyLoidの視点でしょう。
それではもう1つの俯瞰視点は?
それは後に説明させていただきます。
元・天才の微笑みの謎
行き場のない感情だけが
赦されない感覚だけが
見極めたい感傷だけが
揺れる
出典: Foolish feat. 元・天才/作詞:元・天才 作曲:TeddyLoid