MVの中で元・天才が微かにほほ笑むシーンが2つありました。
1つ目は屋上に上がる直前です。
TeddyLoidを見つめ何かを悟るように微かに口角を上げる元・天才。
ここで2人の間には何かしら意思の疎通があったと思われます。
そして屋上から戻り容態を急変させた元・天才の心拍数は治療の甲斐なくゼロに。
次の瞬間、カットが切り替わり元・天才の表情をクローズアップで映し出します。
ゆっくりと目を開ける元・天才。
するとカメラに目を合わせハッキリとほほ笑むではありませんか！
全てのピースを解き明かす
これまでに「Foolish feat. 元・天才」のMVで湧き上がった疑問を整理してみましょう。
- 病に倒れたはずの元・天才が1人屋上で歌うシーン及びフェンスの有無。
- TeddyLoidの存在は何を意図しているのか。
- 屋上で2人を俯瞰する神の視点。
- 死んだはずの元・天才、そして微笑みの意味。
これらを総合するとぼくりりに関連したキーワードが浮かび上がります。
「人間辞職」「通夜」「葬式」です。
太陽の光を浴び「紫外線」に生まれ変わる元・天才
太陽なんか 沈んで二度と帰ってくんな
出典: 人間辞職/作詞:ぼくのりりっくのぼうよみ 作曲:にお,ぼくのりりっくのぼうよみ
TeddyLoidは「Foolish feat. 元・天才」という曲を通してあるイベントに花を添えたのではないでしょうか？
それはぼくりりのラストライブ「通夜」「葬式〜前夜祭〜」「葬式」です。
1月末にぼくりりはその活動を“辞職”し1人の若者に戻ります。
それは1人ニコ動で活動していた頃の「紫外線」への生まれ変わりです。
屋上に上がる前に見せた笑顔の理由。
それはぼくりりの「アーティストとしての死」を意味していたのです。
そしてTeddyLoidは見舞い客ではなく「黒い衣裳に身を包んだ死神」でした。
戒めから解き放たれた魂の喜びの歌
私の生命は私のもの
私の生命は私のもの
人間なんかのものじゃない
出典: 人間辞職/作詞:ぼくのりりっくのぼうよみ 作曲:にお,ぼくのりりっくのぼうよみ
死神の来訪を受け全てを悟った上で元・天才は微かにほほ笑みます。
そして屋上に元・天才の魂を置いた後に病室に戻り死を迎えるのです。
屋上で背後から2人を見つめるのは元・天才の置いてけぼりにされた魂の視線。
そして「Foolish feat. 元・天才」は全ての戒めから解放された元・天才の魂の喜びの歌です。
自由を手に入れた元・天才の魂には四方を取り囲む障壁はありません。
屋上のフェンスが消えるのはそのためでしょう。
そして一度死を迎えた肉体は再び目を覚まします。
微笑みを浮かべるのはぼくりりでも元・天才でもなく生まれ変わった1人の20代の青年だったのです。
最後に
今回はTeddyLoidの「Foolish feat.元・天才」のMVを解説させていただきました。
ぼくのりりっくのぼうよみ本人が出演し話題となったミステリアスな内容。
そこにはTeddyLoidからぼくりりの「辞職」に向けたはなむけの意味が込められていました。
「SILENT PLANET」シリーズの本来のストーリーはこうです。
舞台は言葉と感情を抑圧された沈黙の惑星「SILENT PLANET」。
目的は様々なクリエイターと共に音楽の力で感情を開放させることです。
本来の「Foolish feat.元・天才」はそのストーリーに沿って制作されています。
しかしMVでは物語から逸脱し元・天才の生まれ変わりを描いたTeddyLoid。
同じくサイバー空間から生まれた同志への優しさを感じさせます。
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