SR サイタマノラッパー〜マイクの細道〜

【つきとさなぎ/ぼくのりりっくのぼうよみ】隠された歌詞の意味を徹底解剖!ドラマEDの今作を紹介♪の画像

2017年4月にテレビ東京で深夜放送されていた「SR サイタマノラッパー〜マイクの細道〜」

みなさん観ていましたか!?

いやぁ、深夜枠のドラマってほんと面白い!

私は今「セトウツミ」がツボに入っています(笑)

「SR サイタマノラッパー〜マイクの細道〜」は、もともとは2009年3月に映画として公開されたもので、公開と同時に連日満員御礼状態で立見まで出る超話題の作品でした。

それから二作目、三作目と公開され数多くの賞を受賞するなど若者だけではなく多くの観客からの注目は絶えず、ついに…ドラマ化!

最初たった3人でクランクインした超低予算の自主映画として作られたものだったというから、すごくないですか!?

それがシリーズを重ねて、まさかの地上波ドラマにまで発展するとは、想像をはるかに超える程の影響力があったということですね。

なんでそんなに話題になったの!?

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物語の概要をざっくり言うと……

リズムを刻みながら、魂のラップを刻みながら、IKKU、TOM、MIGHTYのSHO-GUNGメンバー3人が東北各地を彷徨い旅するロードムービードラマ。

キーワードとなるのは、ズバリ!

  1. ずっと追い続けてきた“諦めきれない夢”
  2. 青春
  3. 友情

これだけでアツ~い感じはバシバシ伝わってくるのですが、このアツさなら青春モノにはありがちです。

ではなぜこれだけのシリーズものになったのか…

それは、ヒップホップ全盛期を知らない世代のもつ「ラッパー=ダサい」という偏見やイメージが払拭され、もう一度息が吹き返され始めたからではないかと思うのです。

ダサくてなんぼのもんじゃい…、そんなまっすぐな心の雄叫びや泥臭さって意外と心に残ってたりしますよね。

そういうのを包み隠さず堂々と、そしてコミカルにラップにのせた作品…こんな時代だからこそ改めてそのストレートさが共感を呼んだのかもしれません。

なぜ今またラップがアツいのか

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日本では1980年代あたりにヒップホップが波に乗り始め、様々なアーティストによるラッパーブームのような影響が起こりました。

それが2000年になる頃にはすっかり廃れてしまったのには世の音楽の変化もありますが、ヒップホップを聴かない人の「ラッパー=ダサい」のイメージが多くを占めるような時代背景になったからではないかと思います。

ファッションでいうと、「だぼだぼのビッグサイズ」より「ぴたぴたのスキニー」

音楽でいうなら、「マジ感謝」と韻を踏むより「本当にサンキュ~」とさわやかな癒し。(注:ほんとのヒップホップはダボダボでも感謝でもないんですが!)

世に言うヤンキーブームも沈下し始め、硬派なワルより毒ある優等生のほうがスマートに思える流れになってきたのです。

でもここ数年前から、またドラマなどで韻踏みブームがじわじわときて、ヒップホップを聴かない人々にもまたラップが浸透し始めてきたように思えます。

そこに2015年頃現れたラッパーのひとり「ぼくのりりっくのぼうよみ

独特の世界観のある彼のラップは大いに話題を呼び、この映画のエンディング曲「つきとさなぎ」になりました。

では、この曲についてみていきましょう。

つきとさなぎ

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2017年5月にリリースされた2ndシングル「SKY's the limit」

これまでの”ぼくりり”とは随分イメージが変わり、新たな才を感じさせられた資生堂とのタイアップ曲「SKY’s the limit」と同時収録されたのがこの「つきとさなぎ」です。

このふたつの曲、実は歌詞の構図自体は似ているってことに気づきましたか?

でも曲調が違うだけでこんなにもイメージが変わるものかと驚かされますね。

「つきとさなぎ」には”ぼくりり”らしい、深い葛藤と優しさがにじみでてはいないでしょうか。

表現者としての「才能」みたいなものについて深く考えたという彼は、曲を作るときや聴く時にいつも”real(現実)とunreal(非現実的)”とに葛藤があるとも話しています。

彼自身ゆとり世代最後の枠に入っているわけですが、もしかしたら世に言う「満たされた状態」にいながら、自分にとっての「強烈なreal」を欲しているのかも。

ぼくりり流BlackBird形式とは

「才能」という言葉ひとつをとってみても、華やかさの影には色濃く苦悩や葛藤が潜んでいるもの。

人間誰でも心が引きこもってしまうことって一度はあると思うんですが、そんな時になんの根拠もない前向きな言葉をかけられるかかけられないか……意外とそこで大きく違ってきますよね。

だって、自分ではもうどうにも這い上がれないところまできてるんだから、外からのパスが必要ですもん。

それが直球のパスでも横からの不意打ちパスでも、結局はなんだっていいんです、パスさえくれれば

”ぼくりり”の歌を聴いてると、ずっと横並びに無言で走ってて、最後の最後で最高のヘッドパスを飛ばしてきてくれる、そんな感じがします。

鬱からの躁、ダウンからのアップ感みたいなものが、特に心が激動している10代後半の世代にとっては一種の救いになることもあるんじゃないでしょうか。

ぼくりりはこの手法を「Black Bird形式」と呼んで、1stアルバムに収録の「Black Bird」から使っているようなんですが、

こうやって最後に神パスをもらって気持ちが良くない人なんていないってゆーのを、よくわかりながら言葉を紡いでいるのかもしれませんね。

隠された歌詞の意味とは!?

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この歌には、自分自身で作り上げてしまった「才能」を壊そうともがき苦しむものの、その先には必ず解放が来るという意味が隠されています。

人間をある種の蛹(さなぎ)にたとえ、羽化を阻む壁…つまり自分をがんじがらめにしている才能やプライドこそが苦悩の種なんだという声を歌の端々に潜ませて。

壁を壊そうともがく蛹、破壊した先にある羽化を切望し、それを優しく照らしてくれる月。

30、40歳のそこそこ人生を紆余曲折してきた人が歌うのではなく、これから一歩先の未知の世界に踏み出そうとする10代の彼が歌うからこそ、とてもリアリティがあって深く心に突き刺さります。

お恥ずかしなから、初めて歌詞を読んだ時…んっ!?これなんて読むの!?っていう漢字にたくさんぶつかりました(笑)

でも何度もその漢字を通して歌を聴いているうちに、不思議な程それらに愛着がわいてきたのだから、ぼくりりの紡ぐ言葉ってすごい。

現実を生きるリアルな心中