AKB48「思い出のほとんど」
今回ご紹介するのは、AKB48の楽曲「思い出のほとんど」です。
AKB48の楽曲が全てそうであるように、この曲も秋元康によって作詞がなされています。
主人公である女性が、恋人と2人で過ごしたこれまでの日々を振り返る。
その思い出の大きさとともに、今置かれている状況への葛藤も見られます。
リアルな女心を描くことで定評のある秋元康。
カップルの日常
長電話している2人
それぞれの窓から
青い月を眺め
だらだら長電話しながら
何でも話した
出典: 思い出のほとんど/作詞:秋元康 作曲:すみだしんや
冒頭の歌詞から、あるカップルの日常が見えてきます。
会えない時間も一緒に共有したいという気持ちのある2人は、夜な夜な電話をしているようです。
それぞれに同じ月を見ているというのは、2人がその時間を同じ気持ちで共有できていることを指しています。
話に夢中になって長電話になってしまうのは、2人の相性が良い証拠なのでしょう。
2人は隠し事はなく、お互いを信頼し合っていることが伝わってきます。
気付かないふりをする主人公
同じように見えても
違う景色なんだ
気づいてはいたけど
触れたくなかった 空…
出典: 思い出のほとんど/作詞:秋元康 作曲:すみだしんや
しかし、このパートでどうやらそんな2人の関係に怪しさが立ち込めていることに気付きます。
同じ月を見ていたように思っていた主人公ですが、そうではなかったことが分かります。
気付いてはいたけれど、気付かないふりをしていた。
その予兆を感じながらも、それが自分にとってとても悲しいことであるから触れられなかった。
しかしそんな気付かないふりももう通用しないような状況になってきたのでしょう。
彼女が2人の関係をどうにかしなければいけないと考えていることが伝わってきます。
思い出を振り返る
ずっと ずっと そばにいたから
離れ離れなんて(やだよ)
想像できない
出典: 思い出のほとんど/作詞:秋元康 作曲:すみだしんや
これまでの日々を振り返ると、いつも主人公の隣には彼の存在がありました。
今までの日々を振り返ってみると、いつでも彼のことを考えていた彼女。
離れるなんてことは考えられない。
そんな気持ちが伝わってきます。
彼女は、彼の気持ちが遠ざかっていることを知っているのでしょう。
彼から打ち明けられたのかもしれません。
2人の思い出を振り返る
いつも一緒だった
思い出のほとんどは そう一緒に作ったね
笑ったり泣いたりケンカしたりして
お互いの夢 語り合った日々
出典: 思い出のほとんど/作詞:秋元康 作曲:すみだしんや
楽曲のタイトルである「思い出のほとんど」という言葉がここで登場します。
それが意味していたのは主人公と彼の間で育まれた忘れられない時間のことでした。
お互いの将来のことを気にしたり、くだらないことをして笑い合った日々。
時間を忘れるような、有意義な時間がそこにはあったのでしょう。
2人で過ごした時間は、勿論良いことばかりだった訳ではありません。
喧嘩もしたし悲しいこともあった。
それでもその日々が届けてくれた想い全てを大切に思っているのでしょう。
彼女は、もう戻ってこないかもしれないその日々を噛み締めています。