私と同じくらい壊れろよ
大切なドールも ハラワタ掻き出して
これじゃ誰のことも愛せない
でもそんなのつまんないし 厄介だ

出典: family name/作詞:大森靖子 作曲:大森靖子

イントロに続く2度目のAメロを歌うのはZOC-002の戦慄かなのです。

彼女の生い立ちについては様々な媒体、自身の運営するNPO団体ですでに語り尽くされています。

虐待の過去、壮絶な非行体験...。

まさしく『family name』の呪縛に十代を破壊された張本人なのです

2行目の堕胎を思わせる歌詞が表現する「生まれてこなければよかった」という悲痛な叫び...。

しかし色々あったメンバーが集い、新しい家族を形成した今。

彼女たちは「つまらない人生」を「かわいい人生」で塗り替えようとしているのです。

「かわいそう」はいらない、「かわいい」をください...

ZOC【family name】歌詞の意味を解説!モヤモヤだらけの十代!?それでもクッソ生きてやる!の画像

察して
その名前は二度ともう聞かずに生きていきたい
かわいそう抜きでもかわいいし
私をぎゅってしないなんておかしい

出典: family name/作詞:大森靖子 作曲:大森靖子

『family name』のBメロで彼女たちは声を揃え訴えます。

「昔の名前で呼ばないで」と。

彼女たちは果たして誰に向けて言葉を発しているのでしょう?

それは自分を取り囲む世界全てに対してです。

「古い家族」の中で孤独を抱えてきた少女たちは「新しい家族」を手にします

ZOCという全く新しいコミュニティで「新しい人生」を生きること。

そこは「哀れみの目」ではなく「羨望の眼差し」が待っている世界でした。

それこそがZOCが提唱する「かわいい人生」なのです。

『family name』という呪いから抜け出して

クッソ生きてやるよ!

ZOC【family name】歌詞の意味を解説!モヤモヤだらけの十代!?それでもクッソ生きてやる!の画像

family name 同じ呪いで
だからって光を諦めないよ
family name 御構い無しだ
治安悪いまま バグらせてこ
クッソ生きてやる
クッソ生きてやる

出典: family name/作詞:大森靖子 作曲:大森靖子

ZOCという新しい家族はとても歪な存在です。

そもそも彼女たちが憧れていたアイドルの世界自体がすでに狂気の世界なのかもしれません

捨てたはずの過去を掘り返そうとする心ない人々、炎上するSNS。

しかしそれでも彼女たちの表情は輝きを取り戻しました。

『family name』の呪縛から抜け出す第一歩を踏み出したのです

だから彼女たちは炎上した無法地帯を目にし、なおも強く叫ぶのです。

「I wanna “fuckin'” my life!」と。

暗黒の青春時代を生き抜いた証

余裕で捨てた平成と十代

ZOC【family name】歌詞の意味を解説!モヤモヤだらけの十代!?それでもクッソ生きてやる!の画像

平成も十代も余裕で捨てて
その先の狂気に 値札つけて
いらない感情しか売らないから
消費されたって消えはしない

出典: family name/作詞:大森靖子 作曲:大森靖子

元号が変わることで世の中は今、熱狂的なお祭り騒ぎを見せています。

しかしZOCの『family name』は勇気を出してその空気に水をさすのです。

彼女たちは「平成」という時代の闇の部分の犠牲者でもあります

元号が変わることでその過去がリセットされることはありません。

変わらずに時代の闇は残り続けることでしょう。

彼女たちはその暗黒の過去を「かわいく」切り売りする人生を選択したのです

しかし売りさばくのは不必要になった負の感情だけだと宣言します。

真の「かわいい」は決して時代が変わっても消えることはないだろう...

それこそがZOCが見る未来の姿だからです。

DNAに刻まれた生きてきた証

察して
全部伝わらないよ もどかしい 矛盾してない
生き抜いたその先をみてくれ
私と この世の果てまで

出典: family name/作詞:大森靖子 作曲:大森靖子

まだZOCのアイドルとしての前代未聞の「闘争」の記録は始まったばかりです。

負の感情を切り売りすることを宣言したことで彼女たちに立ちはだかる最初の壁。

それは過去の自分との決別・あるいは成長です。

いくら不要だと切り捨てたとしても過去の記憶を消し去ることはできません。

むしろ現在の自分を作り上げたDNAとして身体の奥深くに根付いているのです

今、ZOCのメンバー通過儀礼としての「産みの苦しみ」を体験している最中なのでしょう。

『family name』は彼女たちが生きてきた証を刻む第一歩です。

その証を見せたいと歌う相手、それもまた自身を取り巻く世界、そして自分自身なのでしょう。