松井五郎ってどんな作詞家?
松井五郎は1981年にリリースされたチャゲ&飛鳥「熱風」で作詞家デビューしました。
1980年代後半は多くの安全地帯の楽曲を手がけたことから「6人目の安全地帯メンバー」とも言われました。
工藤静香、光GENJI、氷室京介、郷ひろみ、など多くのアーティストに楽曲を提供。
これまでに2000数百曲の作詞を手がけた日本を代表する大御所作詞家です。
ジャニーズの楽曲を手がけることも多く、V6や光GENJIだけなくKinKi KidsやSexy Zoneなどにも楽曲提供しています。
「愛なんだ」歌詞から紐解く曲の真意
作詞:松井五郎×作曲:玉置浩二
「愛なんだ」はどれほどの大御所アーティストが手がけた楽曲かおわかりいただけたでしょうか。
ここからは「愛なんだ」の歌詞に注目し、この楽曲が本当に伝えたいこと、曲の真意を紐解いてみましょう。
孤独と虚無感が入り交じる感情
風のガードレール
行きたい場所もなく
どうしてこんなに
渇いているんだろう
胸に巡る
まぶしすぎる夢も
時の流れにいつか
消えてしまうのかい
出典: 愛なんだ/作詞:松井五郎 作曲:玉置浩二
人は誰でも孤独に陥ることがあります。
行きたい場所がない、つまり自分の居場所がない、そんなやるせない気持ちになることもあるでしょう。
自分が想い描いた夢もサラサラと流れ落ちてしまう、そんな虚無感に苛まれることがあります。
そうした孤独や虚無感を、明るい曲調に相反するように歌い出しから描き出しているのです。
日々をなんとなく過ごしていると、毎日同じことを繰り返す代わり映えのない日常に、嫌気がさすこともあるでしょう。
かといって何か新しいことにチャレンジするのでもなく、思い描いた夢をまた追うことありません。
それは、大人になるにつれて現実を知り、無難に暮らしていくことを選んでしまうからでしょう。
それでも、心の中ではやりたいことや諦められない夢を抱いているはずです。
しかし、それは行動しなければ心の中で風化し、やがて消えていってしまうでしょう。
歌詞からはこうした思いが心の中でくすぶり、孤独や虚無感を感じているように読み取れます。
サビでみんなを元気づけてくれる
YEAH そうなんだ
きっとここから愛なんだ
はじめることが愛なんだ
傷つくことを怖れちゃ
だめ だめ だめ だめだよBABY
つらいときでも愛なんだ
できるなにかが愛なんだ
信じてみてもいいはず
あきらめない明日の太陽
出典: 愛なんだ/作詞:松井五郎 作曲:玉置浩二
ここで描かれる「愛」は誰かを愛する「愛」でもあるし、もっと大きい意味での「人間愛」でもあります。
何かを怖れて一歩踏み出すことができない、勇気がない人にV6が笑顔で「頑張れ!」「自分を信じて!」と応援してくれているのです。
踏み出した一歩は、新しいことへのチャレンジかもしれません。
心に秘めていた夢を叶えるために、動き出した人もいるでしょう。
歩み始めた先には、良いことばかりではなく、辛いことも待ち受けています。
そうした困難にぶつかれば、やっぱり無理だと諦めてしまうかもしれません。
しかし、一人で乗り越えることができなくても、頑張っている人のそばには応援してくれる人がいるはずです。
それは家族や友人かもしれませんし、ともに同じ志を持つ仲間かもしれません。
この楽曲のように、好きなアーティストの歌が背中を押してくれることもあるでしょう。
その応援を力に変え、思い描いた未来を信じて進もうという元気をくれる歌詞です。
孤独なんか吹き飛ばせ!
孤独なんか
なんでもないふりで
どうして心は
道に迷うんだろう
わかりあえる
誰かを探しながら
すれ違いの優しさに
戸惑ってばかり
出典: 愛なんだ/作詞:松井五郎 作曲:玉置浩二
「愛なんだ」は誰かが誰かを愛する歌でもあり、私たち人間が全ての人を愛する歌でもあります。
歌詞の中に描かれている「きっと涙も愛なんだ」「微笑みもそう愛なんだ」は、博愛の心です。
しかし、時に人から向けられる愛を素直に受け止められないこともあるでしょう。
大人になり自立したのだからと、自分一人でなんでも解決しようとしてしまいがちです。
それに孤独を感じても動じていないふりをして、大変なことも一人で抱え込んでしまうこともあるでしょう。
そんな時、意外と周りの人は苦しんでいることに気づいているものです。
特にその人のことを大切に思っている人ならなおさらのこと、少しでも力になろうと手を差し伸べてくれるでしょう。
しかし、一人で解決しようとしていると、その優しさに気づかず突っぱねてしまうこともあるかもしれません。
本心では誰かの助けを必要としていても、それを素直に打ち明けたり、誰かの優しさを素直に受け取ることができないのです。
そうした心のすれ違いに戸惑い、もどかしさを感じていると読み取れます。