秦基博『エイリアンズ』を解説！歌詞が独特で聴けば魅力に必ずひきこまれる！

まずは冒頭部分です。

静かな夜更けにバイパスを歩きながら空を見上げ、一機の旅客機が通り過ぎていくのをぼうっと見ている様子が描写されています。

誰にでも眠れない夜はあるはずです。

そんな時に夜風に当たろうと散歩をした経験はありませんか？

当たり前のような誰にでも想像できる歌詞から始まっていきます。

ここで出てくる「ダーリン」という言葉は、日本では女性から男性の恋人に向けて発せられることがポピュラーですが、英語では男女の区別はなく「愛しい人、最愛の人」という意味で用いられます。

後の歌詞で「僕」という歌詞が出てくることから主人公は男性であることが分かるので、後者の意味で用いられていることが分かります。

ということは、寝付けない夜に恋人同士で散歩に出ていることも想像できます。

「泣かないでくれ」という言葉からは彼女に何かつらい出来事が降りかかって寝つけていないのではないでしょうか。

しかし、そんな時にも月は平等に私たちを照らし、安心させてくれます。

そして、サビに入っていきます。

ここでタイトルにもなっている「エイリアンズ」という言葉が出てくるわけですが、この言葉には「宇宙人」「異邦人」「よそ者」などの意味があります。

それをこの歌詞に当てはめてみると、こうやって夜に2人で出歩いていることを、世間から隔離されたものとして楽しんでいるように感じます。

2人だけの世界は確実にあって、夢も見ることができる。だから、悲しむことはないんだよ。

と、そんな風にして君を元気付けてあげるよという優しさを、「魔法をかけてみせるさ」と気障に表現しているのではないでしょうか。

泣いている君をどうにかして笑わせたい、そんな願いを感じる歌詞から2番は始まっていきます。

聞こえてくる遠吠えや、道路を走るスポーツカーの面構え、そして、自分の短所など、何とかしてそれらをジョークに変えることで笑わせようとします。

しかし、あまり上手くはいかず君はふてくされてしまいます。

そして、ふてくされた君を綺麗な街灯の灯りを見ながら歩いたり、時にはキスをすることで解していくような2番のサビになっています。

また、今度は元気にする魔法ではなく、「ふてくされるという魔法」を解くという表現で、僕の気障さが表現されています。

ここで出てくる「ラストダンス」という言葉は、単純に「最後のダンス」という意味ではありません。

ダンスパーティーで女性にとって最後のダンスを踊る相手には特別な感情や意味があります。

それまでに踊っていた男性とは一際違った感情が入り、その後の2人の行動にも関わってくる重要なダンスなのです。

それを「ラストダンス」と呼びます。

なので、この言葉を投げかけることで特別な感情を持っていることを伝えているのではないでしょうか。

簡単に好きだと伝えるのではなく、また独特の表現で気持ちを伝えているのです。

そして、最後は1番のサビを繰り返し、さらに「大好きさエイリアン」と付け加えます。

ここまで散々、気障な表現で気持ちを伝えてきた分、最後のまっすぐなフレーズがよりグッと心に染み渡ってきます。

絶妙な表現の駆け引きがなされた締めくくりになっています。

いかがでしたか？

大人の雰囲気が漂う夜の情景の中、気障な表現を交えながら自分の気持ちを伝えていく駆け引きが見える、アダルトな歌詞になっていました。

「エイリアンズ」は2017年にLINEモバイルのCMソングにも起用され、女優である のん がアカペラで披露したことで、再び脚光を浴びています。

また様々なミュージシャンにカバーされる中でも、秦基博の温かくも鋭い声はこの楽曲にとても合っていると話題になっています。

心の奥底からじんわりと温めてくれる「エイリアンズ」、ぜひ聴いてみてください。