光はライターの光 ユレテルユレテル
つまりは単純な光 ユレテルユレテル
ここで待ってるだけじゃ何も言えなくて
すれ違っていく人も何も言わなくて
出典: https://twitter.com/sakanalyrics/status/631952939339280384
光はライターの光 ユレテルユレテル
つまりは単純な光 ユレテルユレテル
立ち止まってるだけの僕らしさなんて
すれ違っていく人は気づくはずもないんだ
出典: https://twitter.com/Say_____ano/status/661915446350708736
「自分」というものを模索していく中で見出していく光は、ライターの光のように、吹けばすぐに消えてしまうような儚く脆いものです。
しかし、その光を手に入れるためには行動を起こさなければいけません。
何もせずに待っているだけでは、何も得ることはできないのです。
一歩踏み出したいにも関わらず、その勇気が出ずに二の足を踏んでいるのかもしれません。
自分がなりたい存在になるためには自分で考えていくしかないのです。
周囲の人々にその答えを求めても、誰も答えてはくれない。
自分と向き合うことこそ、自分という存在を確立するために必要なことだといえるでしょう。
「自分らしい」というのがどのようなものなのか。
ライターの火が「揺れている」のは、彼の心の揺れも表しているのではないでしょうか。
どうすればいいのかを考えて、心で葛藤が生じているのです。
そういったことを考えるということは自我が確かに存在しているということでもあります。
彼は自分自身と向き合うことで、新たな自分へと変化しようとしているのでしょう。
楽曲が辿り着いた先にあるもの
藍色とライター
光はライターの光 ユレテルユレテル
つまりは単純な光 ユレテルユレテル
この藍色の空 目に焼き付けて
次 目を開いたら目が藍色に
出典: https://twitter.com/shinukidedance/status/901449368087089152
悲しさや寂しさを孕んでいるこの世間をしっかりと見渡すことで、そこに染まっていきそうな自分を揶揄しているように感じる歌詞になっています。
メガアクアイイロ メガアクアイイロ メガアクアイイロ メガアカイイロ
出典: https://twitter.com/MeGaNetaro_02/status/597023846424715265
そして、タイトルのフレーズを全員で繰り返す印象的な部分。
最後の言葉だけ「メガアカイイロ」と違う色に変化しています。
人間は変化し成長していく生き物です。
悲しさや寂しさに暮れるだけでなく、変わっていこうとする心の中で燃える火を「アカ」という色で表現されているのではないでしょうか。
今までの「藍色」には、悲しみや寂しさといった感情と共に精神的な幼さや未熟さも含まれていたのではないでしょうか。
しかしその中に沈んでいくのではなく、勇気を持って踏み出していく。
主人公の目に「アカく」現れるほど、未来へ進んでいくという決意がみなぎっているのでしょう。
変わっていくことを受け入れることを通して、主人公が大人へと成長していく様子を描いていると考えられます。
制服を捨てた先へ
制服はもう捨てた 僕は行く 行くんだ
悲しみの終着点は歓びへの執着さ
藍色の空が青になる その時がきたら いつか いつか
出典: https://twitter.com/Tokyojiken/status/863060681968373761
そして、盛り上がりきったところで最初のフォーキーなメロディーに戻ってきます。
今までの葛藤を振り払って前に進んでいこうとする気持ちが描かれています。
悲しさや寂しさを突き詰めきった先に待っているものは「歓びへの執着」、つまりこれこそが「変わっていこうとする心の中で燃える火」なのではないでしょうか。
そうやって前向きに転じていくことで、藍色をした空(世間)も澄み切った青、つまり悲しさや寂しさの晴れた世間に変わっていくはずです。
また、この楽曲の歌詞において、主人公の未熟さを象徴していたのが「制服」だったのでしょう。
それを脱ぎ捨てて、主人公は前へと進むことを宣言しています。
今まで散々、悲しみや寂しさを自分の中で感じ取ってきたからこそ、前へ進めるようになったのでしょう。
無垢であるということは、無知であるということでもあります。
人というのは、多感な時期に経験した様々な出来事を通して世界との向き合い方が分かるようになっていくのです。
この楽曲ではある1人の青年がそんな風に未熟な存在から成熟していく様子を描いているのでしょう。
壮大な締めくくり
君の声を聴かせてよ ずっと
君の声を聴かせてよ ずっと
君の声を聴く 息をすって すって
君の声を聴かせて
出典: https://twitter.com/Tokyojiken/status/863060681968373761
そして、最後にまたメロディーは展開を見せ、壮大な締めくくりに向かっていきます。
「ずっと君の声が聴きたい」と歌う、その一点に集約された想いは、寂しさを感じていた時期から抜け出した後の安らぎがずっと続いて欲しいという想いではないでしょうか。
誰しも好きな人の声を聴いていると安心するものです。
そんな風に悲しさや寂しさ、鬱屈とした想いを抱える時期を抜けたその先で、好きな人と共に過ごしていくことを目指していくような、安心を求めるような歌詞で締めくくられていきます。
主人公が制服を脱ぎ捨てて大人になる過程を表したとされる「目が明く藍色」。
1曲とは思えないほどの、壮大な展開。
これによって、山口一郎は主人公の心情を描こうと考えたのでしょう。
その自問自答の果てに目にした景色の中で、主人公は「君」という存在と出会ったのでしょう。
主人公にとって、「君」という存在との出会いは恋を知ることでもあったのではないでしょうか。
主人公が目にした新たな世界
悲しみや寂しさの他に、幸せや楽しさといったものもこの世界には存在していると知った。
だからこそ、安らぎを追い求める人生へと進んでいこうと考えているのではないでしょうか。
楽曲の最後に、「君」という他者の存在が登場するのは、彼が外に目を向けられるようになったことを表しているのでしょう。
今までは自分の内側で全てを完結させていた主人公が、大人になり他者と親密な関係を築いていくこと。
それが彼にとって1番の成長だといえるのではないでしょうか。
「藍色」という色から「青色」に彼の心が変わったこと。
これは彼が世界を多面的に見られるようになったことを表しているのではないでしょうか。
「藍色」という狭い色でしか世界を見られていなかった主人公。
しかし世界には様々な「青色」があるのだということを知ったのではないでしょうか。
世界というものを一元的に解釈するのではなく、多元的に様々な見方で見るということ。
その見方に気がついたことで、世界が主人公を「君」という存在に出会わせてくれたのではないでしょうか。
作詞作曲者である山口一郎は、この曲で音と歌詞によって主人公の精神世界の変化を描きたかったのでしょう。
「目が明く藍色」は、音楽の可能性を追求するサカナクションが辿り着いた1つの到達点なのです。