代表曲「新宝島」の裏に潜んだ情の深い楽曲
「聴きたかったダンスミュージック、リキッドルームに」について
当楽曲「聴きたかったダンスミュージック、リキッドルームに」についてご紹介。
2015年9月にリリースされたシングル「新宝島」のカップリング曲です。
「新宝島」とは今やサカナクションの代表作と言っても過言ではない知名度を誇る楽曲です。
YouTubeに公開されているMVの再生回数は1.2億回を突破。
「聴きたかったダンスミュージック、リキッドルームに」の別バージョン!?
スペースシャワーTVのレギュラーオリジナル番組『サカナクションのNFパンチ』(2019年3月28日で終了)。
この番組は2016年から「音楽と音楽にまつわる新しい世界へいざなう番組」というテーマを掲げて始まりました。
その中の一企画として当楽曲をダブミュージックで再構成しています。
ダブミュージックとはレゲエから発祥した音楽ジャンルの一つ。
原曲に、リバーブやエコーなどの空間系のエフェクトを過剰に施すことで、新しい楽曲を作り出します。
リミックスされた当楽曲は、原曲のお洒落さを残しています。
そして更に楽曲の独特の空間に引き込まれるような魅力。
気になった方は是非チェックしてみてください。
夜のライブハウスだけでしか会えない君を求めて
リキッドルームとは
始めに押さえておきたいのは”リキッドルーム”という言葉。
聞きなじみが無い人も多いと思います。
これは、東京のJR恵比寿駅西口付近に位置するライブハウス「LIQUIDROOM」のこと。
それを踏まえてタイトルを見れば、音楽とライブハウスという漠然とした繋がりを感じられます。
そして段々と物語の場面が浮かび上がってくると思います。
君で高鳴る鼓動はまるでBPM120
君は週末恵比寿の ここでしか会えない他人 僕は東京生まれのフリをして
踊りながら待っているのさ BPM120 AM 1時の空気と君のこと
出典: 聴きたかったダンスミュージック、リキッドルームに/作詞:山口一郎 作曲:山口一郎
歌詞中に何度も登場する君は当楽曲の中で重要な人物となっていきます。
君とは週末の深夜にライブハウス「LIQUIDROOM」にやってくる女性のこと。
対する主人公はどこか無理に余裕ぶって、君がライブハウスに来るのを待っているのです。
しかし「東京生まれのフリ」とあるように、まだ都会やライブハウスの空気感に馴染むことが出来ない。
隠し切れないぎこちなさも伴っているのです。
そんな不慣れな主人公故に、一方的に君が来ることを待っているだけなのに心臓のドキドキは収まりません。
BPM120と表現するほどに心拍数が高まっていきます。
「BPM」とは”Beats Per Minute”の略で一般的に音楽用語で、一分間の拍数のこと。
それだけでなく、医学用語として一分間の心拍数を示す際にも用いられます。
ダンスミュージックに酔いしれる雰囲気と焦る心情を一言で表した”BPM120”は瀟洒な歌詞。
AM1時にライブハウスに君と主人公のぎこちなくどこか新鮮味のある空気感が漂います。
落ち着かない様子の主人公とまだ主人公に対して大きな感情も持っていない君。
二人の関係性はどのように進展していくのでしょうか。
たった数時間の音が制する空間に酔いしれる
君との時間は一瞬の泡沫
聴きたかったダンスミュージック リキッドルームに 続きまして 夜は朝に変わります
出典: 聴きたかったダンスミュージック、リキッドルームに/作詞:山口一郎 作曲:山口一郎
そしてダンスミュージックが流れる夜も更けたライブハウスで、君と出会う回数が少しずつ増え始めていきます。
同じダンスミュージックを聴きに来ている共通点も、主人公が君のことを魅力に感じた一つのポイントなのです。
まだ君のことを何も知らないけれど、同じ音楽に体を揺らせて音に酔いしれる。
その絶妙な距離感がどこか心地よく感じ、君に魅力を感じられずにはいられません。
しかし、そんな至高の空間は決して長く続くものではなく、気づけば朝日が顔を出し始めます。
君との空間、それは言葉にすれば一瞬の出来事なのです。楽しい時間ほど過ぎていくのは速いのです。