「答えて」「見させて」
誰かに問いかけ、誰かに望みます。
「恋心を認めれば世界は色を持つよ」と誰かが答えてくれたら彼女は恋心を認めるのでしょうか。
その誰かが夫ではなく、恋を感じさせる相手であれば、喜んで認めるのでしょう。
もしも相手が「恋をすればこんなに綺麗な景色が見えるよ」と教えてくれたら、彼女は進んで恋に落ちるのでしょう。
世間的にタブーとされている不倫、しかも相手は娘の婚約者。
どうしても一歩が踏み出せずにいるからこそ、誰かに背中を押してもらいたいのです。
その誰かは夫ではなく、恋に落ちたい相手であったらいいと思っています。
踏み出すためにはあなたが必要
赤い口紅も
赤いピンヒールも
私には必要ない
出典: 彩恋〜SAI_REN〜/作詞:中野久美子 作曲:Kiyoshi Ikegami
世界が彩あせてみえる彼女にとって、鮮やかな色をしたものを身につける意味はありません。
彼女自身、赤い口紅が本当に赤なのか、どれほど鮮やかな赤なのか分からないのです。
また、赤い口紅やピンヒールは女性らしさの象徴。異性へのアピールに使われる物。
こうしたものを身に着けて勝負するような場所に、彼女は出ていきません。
そうまでして恋を手に入れたい!というわけではなく、目の前にある恋の可能性だけを見ています。
でもいつかは彩が見える日が
来るのかな
出典: 彩恋〜SAI_REN〜/作詞:中野久美子 作曲:Kiyoshi Ikegami
今は彩あせて見える赤い口紅やピンヒールも、恋をすれば鮮やかに見えるようになるのでしょうか。
鮮やかな色をまとった姿で相手の前に立つ日が来るのでしょうか。
ここでは「いつか」という、近くにも遠くにも取れる言葉が使われています。
この表現から感じるのは、一歩踏み出すことへの躊躇(ちゅうちょ)です。
放っておいても彩がつくかもしれないし、誰かが彩をつけてくれるかもしれない。
恋に向かって一歩踏み出す必要はあるのだろうか、と思っているからこそ「いつか」という不確定な表現をするのでしょう。
知りたいから教えて!
ねぇ 聞かせてよ
恋に気づけば
世界は彩づくの?
ねぇ 教えてよ
世界がどんな彩なのか
知りたいから
出典: 彩恋〜SAI_REN〜/作詞:中野久美子 作曲:Kiyoshi Ikegami
初めはこれまでに出てきた歌詞と同様です。
恋心を認めれば彩のついた世界が見えるのか、答えを聞かせてほしいと願います。
そして続くセクション。「?」が消えました。
これまではずっと彼女が疑問を投げかけていましたが、ここで初めて彼女は「欲」をあらわにしました。
「見させてよ」という歌詞は曲の中盤に登場しましたが、ここでは「見せて」ではなく「知りたい」と言っています。
つまり、相手の言葉で説明してほしいということではないでしょうか。
「見せる」だけなら、第三者目線の世界を提示することもできるわけですから。
他の誰かが見る彩ではなく、彼と彼女が二人で彩る(paintですね)世界の彩について知りたい・教えて、ということです。
「彩恋〜SAI_REN〜」に描かれた消えない恋心
禁断の恋であっても、恋心は消し去ることができません。
恋をしてはいけない相手に抱いてしまった思いを、どこに持っていけばいいのか。
曲中の女性の中で、前に進みたい欲望と今を壊すべきではないという理性がせめぎ合っています。
ドラマに出てくる真璃子は、このあとどんな道を辿るのでしょうか。
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