こんな歌詞を贈られたい
「how far are you?」は、もちろん、「君はどれくらい遠くにいるんだい?」という登山をモチーフにした問いかけであるのは間違いありません。
でも、これは単純な問いかけではなく、「僕はすぐそばにいるよ」という強いメッセージとも取れます。なにしろ自分は、後を追って来たのですから。
さらに「星が綺麗に見えるのは、君のおかげ」と藤原は言います。
「君を追って、ずっと上を向いていたから星が綺麗なことに気付けた」
なんと感動的なセリフでしょう。こういうこと、言われてみたいですよね。
言いたいことは無いよ 聞きたいことも無いよ
ただ 届けたいことなら ちょっとあるんだ
ついて来たっていう 馬鹿げた事実に
価値などないけど それだけ知って欲しくてさ
出典: https://www.uta-net.com/song/106197/
驚かせようとして登ってきただけのことなんだけど、届けたいことがあった。言いたいことでも聞きたいことでもない。ただ届けたいこと。
これも深い意味だと思います。
届けるというのは、無条件に渡してしまうこと。「言いたい」という気持ちは、「聞きたい」という気持ちの裏返しでもあります。そうではなくて、ただ「届けたい」。こう藤原は升に語り掛けています。
こういう言葉の知的な使い方が藤原基央はとても上手いですよね。知的なエッセンスが強いと、ともすれば冷たく、また突き放した印象を与えることもあるのですが、彼の場合、いつも全くそういうものを感じさせません。
その理由は、彼の言葉の裏には常にポジティブな気持ちがあるからだと私は思っています。これが、BUMP OF CHICKENの歌は愛され続けている理由のひとつだと思います。
そして、「届けたい」ことは、「(君に)ついて来た」ということだと藤原は言います。
BUMP OF CHICKENの中心は、紛れもなく藤原基央であるのは、誰も否定しないでしょう。でもそのきっかけを作ってくれたのは、升が藤原を誘ってくれたからだという大きな感謝がここにあります。
最高の友達への贈り物
感謝を込めた最高のプレゼント
タイトル「セントエルモの火」は、悪天候の時などに帆船のマストの先が静電気で発光する現象のことを言います。
「セント」は「聖」、ですから「セントエルモ」は「聖エルモ」という人の名前のことなんですね。
彼はカトリックの殉教者で、その祈りによって落雷から船が守られたという言い伝えから、船乗りの守護聖人と言われています。
マストに宿る光は雷が引き起こす強い電界によって起きる現象で、それを守護聖人の力と信じて「セントエルモの火」と呼んだわけです。
このタイトルこそ、藤原が升に贈りたかった意味をあらわしてくれているのではないでしょうか。
「船乗り=藤原、セントエルモの火=升」升が導いてくれたからこそ、今の自分がある...というわけです。
how far are you? 一緒に生きていることは 当たり前じゃない
別々の呼吸を 懸命に読み合って ここまで来たんだよ
how far are you?僕が放った唄に 気づいてないなら
いつまでだって歌おう 君のおかげなんだよ いつも探してくれるから
いつも見付けてくれるから
出典: https://www.uta-net.com/song/106197/
ダイナミックな展開が彼らの持ち味
ライブに期待
ここまで、歌詞にフォーカスしてみましたが、この「セントエルモの火」はそのメロディーライン、またアレンジについてもBUMP OF CHICKENの音楽性を強く表した名曲です。
イントロからサビに至るまではあくまでも繊細。ギターの伴奏をバックに語り掛けるように藤原のボーカルが響きます。
そして一転して、サビは強いビートを打ち出し、荒々しいギターのカッティングが感情を盛り上げます。こういうダイナミックな展開こそ、彼らの得意なところ。
ただし、この曲は音の強弱のレンジが広く、技術的に難しいということもあるのか、まだライブでは披露されていません。
個人的には、ライブの最初に持ってきてくれたら盛り上がるのでは?と期待しています。
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