AI「ハピネス」
2011年にリリースされたAIの「ハピネス」は、2011年の『コカ・コーラ』クリスマスキャンペーンのテーマソングに起用され、この年のクリスマスには、多くの場所でこの「ハピネス」を耳にしました。
AI自身も登場するCM映像は印象的で、覚えている人も多いのではないでしょうか。
「ハピネス」のMVでは、AIがさまざまなコスプレ姿を披露しています。トラックの運転手、舞台となる高校の掃除婦や校長先生など、さまざまな姿で楽しませてくれます。
最後のシーンでは、生徒たちと肩を組んでハピネスを熱唱し、最初からAIの笑顔の絶えない明るくハッピーなMVとなっています。
2011年は震災の年
日本中が悲しみに
2011年の3月11日には、東日本大震災とよばれる、東北地方太平洋三陸沖を震源とした大きな地震による災害で、多くの人が亡くなり、行方不明となり、日本中が悲しみと不安に落ち込みました。
AIのハピネスは、2011年12月14日にシングルとして発売されました。震災があった年のクリスマス前です。
この年の『コカ・コーラ』のCMは、世界共通で同じものが予定されていたそうですが、東日本大震災をうけて、日本だけは別のバージョンのCMを作成したいという意見が出て、AIに楽曲の依頼があったようです。
AIのハピネスは、全国で大々的に放送された『コカ・コーラ』のCM以外にも、街中で、たくさん耳にする機会がありました。
キャッチーなリズムで、ついつい口ずさんでしまう曲だけれども、平和と愛のメッセージや悲しみも感じ取れる。そして、なんだか元気が湧いてくる!そんな不思議な魅力をもったこの曲は、世代を超えて支持されることとなりました。
ダウンロード数250万件!
AIの「ハピネス」は、iTunesの年間ランキングのシングル部門、トップセールスソングで、2012年度の年間第3位を獲得する大ヒットとなります。
ダウンロード件数は、なんと驚きの250万件だそうです。
「ハピネス」は、シングル以外では、通算9枚目となるオリジナルアルバム「INDEPENDENT」に収録されています。
その他にも、2013年発売の「ハピネス-ギフトパック」。2015年発売の「THE BEST」でも聴くことができます。
ハピネスができるまで
私にとって「ハピネス」は泣ける曲
AIは、インタビューで、このハピネスという曲を一言でいうと「泣ける曲」と話したそうです。
ハピネスというタイトルからは、あまり連想することができない意外な答えですよね?
そう語る理由は、色々な想いを、素直に歌詞にのせて書いた、思い入れのある曲なのだからのようです。
今まで作詞をする中で、「好きだよ」とか「愛しているよ」という言葉を、歌詞を入れることにAIは、抵抗をもっていたようです。
直接的にそういう言葉は使わずに、回りくどい言い方をしてきたとか。
その理由は、視聴者に他の多くの作詞家が書きそうな、ありきたりな歌詞だと思われたくないという思いと、別の切り口でも表現できると考えていたから、あえて書いていなかったそうです。
でも震災があって、AIの考え方は変わったそうです。
気持ちを言葉に
震災があったことで、「愛しているよ」とか「好きだよ。いつもありがとうね」とか、思ったこと、大切なことを恥ずかしがらずに言葉に出していかなければならないと、AIは感じたそうです。
もし明日死んでしまったら、ちゃんと言っておけばよかったと後悔するかもしれないから。
そういうストレートな気持ちをぶつけて書いた曲が、このハピネスなんだと思います。
それまでの作詞に対する概念がすっかり変わり、AIが素直な気持ちを恥ずかしがらずに書こうと決意した曲でもあります。
普段はなかなか声に出しては言えないこと。愛や感謝の言葉をしっかり伝えることの大切さを、AIはこのハピネスで強く伝えたいと考えているようです。
だからでしょうか。聴いている人の心を強く揺さぶる、メッセージ性の強い曲に仕上がっていると思います。
歌詞を考える
余裕がなくて 優しくなれない
そんな時でも ちゃんと分かってくれている人がいる
出典: https://www.uta-net.com/song/121953/
自分に余裕がないと、人に優しくはできませんよね。
周りの人に気遣う余裕がなくなると、相手が悪いわけではないのに、ついあたってしまったり…そして後で反省する。そういう経験は誰にでもあることだと思います。
でも実はちゃんと分かってくれている人がいる。それだけで安心できますよね。
家族や恋人、身近な人の存在の大切さを今一度考えさせてくれる、そんな歌詞です。