貴方の台詞は変えられないけれど
ラストシーンは私の物
ワンテイクでキメるわ
出典: 最終回/作詞:吉澤嘉代子 作曲:吉澤嘉代子
恋人が最後にどんな言葉を発したのかは『最終回』ではさほど重要ではありません。
「だってこのドラマの主演女優は私だから」
恋に破れたどん底の状況なんて。
こんな舞台設定は滅多にありません。
脚本も、カメラワークも、照明だって彼女の思うがままです。
「だって私は主演女優」
人生という名のドラマにテイク2はありません。
彼女が浮かべる表情、発する言葉、全ての佇まいに聴衆は惹き込まれるのです。
ラストシーンに相応しい舞台
雨音がより感動的な最終回を彩る
オンオンオロロン オンオンオロロン 女は泣く
雨のカーテンコールは 拍手喝采
出典: 最終回/作詞:吉澤嘉代子 作曲:吉澤嘉代子
その『最終回』に神様は最高の舞台を用意してくれたようです。
「当然よ、だって私は主演女優」
涙を綺麗に洗い流してくれる雨。
ラストシーンにこれほど相応しい舞台は考えられません。
降りしきる雨音は彼女にとって聴衆からの称賛の声でもあるのです。
どこかコミカルな響きを感じる泣き声の擬音。
吉澤嘉代子さんのインディーズ時代の名曲『ユートピア』でも使用されていました。
「ハクション大魔王」など昭和のアニメ作品で聞かれたこの泣き声。
恋の終わりを一種コメディーのように前向きに感じさせる効果もあるのでしょう。
何度目の『最終回』だっただろう...
私はいつもすぐに最終回
映画版の話なんて馬鹿はよして
出典: 最終回/作詞:吉澤嘉代子 作曲:吉澤嘉代子
『最終回』で筆者がもっとも気になってしまったのが2番のこのフレーズです。
主人公である女性は幾度となく『最終回』を迎えていることが示唆されます。
そして破局までの道程がいつも短いことも...。
この女性にとってのラブストーリーは連続ドラマではなくショートストーリーなのでしょう。
たとえ聴衆が見惚れるようなストーリーでも「劇場版〇〇」なんてもっての他です。
主演女優賞は私のもの
主演女優賞は渡さないのさ
私しかいないドラマの中で
ワンショットでキメるわ
出典: 最終回/作詞:吉澤嘉代子 作曲:吉澤嘉代子
幾度となく経験してきた恋愛ドラマの『最終回』。
彼女はその時々に苦悩し泣き叫びました。
喜びも悲しみも、そして怒りも...様々な感情が彼女の内側に滞留しています。
彼女の心はその度に痛みに苦しめられたことでしょう。
しかしその痛みこそが彼女が主演女優賞を勝ち得た証なのです。
「そんじょそこらのリア充女子には譲れないわ、だって私が主演女優だから」
今日がどん底でも明日がある♪
オンオンオロロン オンオンオロロン 女は泣く
紙吹雪散らして ド派手にいきましょ
オンオンオロロン オンオンオロロン 女は笑う
いつか傷も癒えて 誰かに話したとき
笑いの一つでも取れたなら お釣がくるわ
出典: 最終回/作詞:吉澤嘉代子 作曲:吉澤嘉代子
このドラマに続編なんて、ましてや劇場版なんて真っ平よ。
恋愛が終わる時、誰もがそう思ってしまうでしょう。
しかし心にパックリと開いた傷口もいつか修復される日が来るのです。
一通り泣き終えた彼女は笑顔を浮かべます。
そしてポジティブな思考を感じさせる最後のフレーズ。
「どん底の今日を最終回にして、明日からはまた新しいドラマを始めよう」
吉澤嘉代子さんはこんな想いを込めて『最終回』を描きました。
女優は強く美しい。
たとえ滑稽に見えようと逞しい生き様を見せること。
それが主演女優賞を勝ち取る方法なのでしょう。