君はスカートの裾を気にしながら駅に消えた
風 風 きっと吹くな

出典: なんてったって春/作詞:山口一郎 作曲:山口一郎

スカートを気にしているのは誰でしょうか?

おそらく、主人公の想い人でしょう。

強い春の風といえば、春一番を連想します。

春一番は、立春から春分の間に吹く風のこと。

いよいよ春が目の前に迫っているのです。

主人公と想い人との今後の関係性が気になります。

明日は雨予報 立ち尽くしてただけの僕の傘
杖のように固まった

出典: なんてったって春/作詞:山口一郎 作曲:山口一郎

立春から3月の始めにかけて降る春の雨。

暖かくなる時期はすぐそこまできています。

3月といえば卒業シーズン。

これは、悲しい別れの時期を意味しています。

立ち尽くしていたのは自分の持っている傘。

杖のように固まったのは、主人公の足。

このことから、浮かんでくる情景があります。

雨が降る日、想い人に傘を差し出せなかった自分。

それを後悔しているのです。

明日雨が降ったら、もう1度チャンスはあるだろうか?

少し気弱な主人公は、そんなことを考えています。

どちらにせよ、春は別れの季節。

想いを告げられる時間にもリミットが迫っています。

気になる恋の行方

どうして泣くのか

主人公と想い人との恋の行方を象徴する歌詞がサビです。

南南西から鳴く風
なぜか流れた涙
なんてったって春だ

出典: なんてったって春/作詞:山口一郎 作曲:山口一郎

歌詞の頭に「な」がつくことで、印象深いサビパート。

頭韻によってリズミカルな印象を抱きます。

冬から春への変化を告げる風が吹き、主人公は泣く。

おそらく、彼の恋心は叶わなかったのでしょう。

想いを告げたのか、それとも告げられなかったのか?

その真相ははっきりとは描かれていません。

しかし、残酷にも別れの季節がきてしまった。

切ない情景が目に浮かびます。

春のせいにして涙を流した主人公。

花粉症のせいだと思っているのでしょうか?

胸をキュッと掴まれるようなストーリー展開です。

時は経って

ここから、2番の歌詞に移っていきます。

今年二度目の春の雷で早歩きした
雨 雨 きっと降るな

出典: なんてったって春/作詞:山口一郎 作曲:山口一郎

1番の歌詞から時が流れています。

春の雷が再び鳴りました。

雨に打たれることを心配する主人公。

足早にその場を通り過ぎようとします。

歩き慣れた道 横目で見た赤いツツジの花
おもむろに揺れたんだ

出典: なんてったって春/作詞:山口一郎 作曲:山口一郎

4月中旬から5月中旬に咲くツツジの花。

新学期が始まっていることの描写です。

歩き慣れた道とは、通学路のこと。

主人公は、新しい学校への通学にも慣れてきたようです。

そう推測すると、おそらく時期は5月くらいでしょう。

ツツジの花に例えているのは、あの想い人のこと。

赤い色は、彼女がさしている傘の色の比喩です。

なぜか流れた涙が
多分 春だ

出典: なんてったって春/作詞:山口一郎 作曲:山口一郎

サビパートに入り、主人公はまたを流します。

それはなぜか?

想い人の隣を歩く人の姿を見たからです。

時間が経ち、新しい道を歩み出した彼女。

愛する人と巡り合ったのかもしれません。

不運にもそれを見かけてしまった主人公。

彼の脳裏に蘇るのは、想いを告げなかったあの雨の日

皮肉なことに、今日も同じく雨が降り出します。

時間が過ぎ去っても、主人公だけが囚われている。

過去の叶わなかった恋を引きずっているのです。 

春が人を大きくする