BUMPのタイトルで度々使われる「~の唄」。

それを思うと、この「友達の唄」がいかに特別なタイトルであるかわかります。

思えば「ドラえもん」は友達を描いた物語です。

ドラえもんとのび太、そしてのび太と仲間たち。

そして「新・鉄人兵団」もまた友情を描いています。

のび太とひよこ型ロボットのピッポ、しずかと少女型ロボットのリルル。

離れていても互いを思う彼らの友情は感動を呼びました。

そして藤原はインタビューで、もうひとつの友達の存在を語っています。

それは藤原自身と、心の中にいるのび太との友情。

幼い頃の自分を心の中で励ましてくれたのび太やドラえもん。

そんな大切な存在に感謝を込めた1曲です。

2位:車輪の唄

車輪の唄
BUMP OF CHICKEN
トイズファクトリー
販売価格 ¥900(2018年1月11日12時40分時点の価格)

基本情報とおすすめ歌詞ポイント

「車輪の唄」は2004年8月にリリースされたアルバム『ユグドラシル』からのリカットシングルとしてアルバムを追うように2004年12月にリリースされました。

シングルとしてリリースされた「車輪の唄」はアルバムバージョンより少しだけアレンジが異なっています

おすすめ歌詞その1がこちら。

笑っただろう あの時 僕の後ろ側で
振り返る事が出来なかった 僕は泣いてたから

出典: 車輪の唄/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

線路沿いの下り坂を
風よりも早く飛ばしていく 君に追いつけと
錆び付いた車輪 悲鳴を上げ
精一杯電車と並ぶけれど
ゆっくり離されてく

出典: 車輪の唄/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

今回のランキング3位に入っている「友達の唄」と同じく、友情をベースにしてある楽曲でとても仲の良い友人との別離を歌っていると思われます。

立場によっては初恋の人だったり、別離を機に関係が途切れてしまうだろう両想いの2人とも考えられますが、筆者的には友達かな、と。

彼(彼女)を自転車の後ろに乗せて走る道、どんな話をしていたのでしょうか、背中から聞こえる君の声は笑っていました。

でも、僕は泣いていて振り返ることができずにいます。

きっと自転車に乗って話したのは、一緒にいた風景の中で経験してきた色々な思い出だったのでしょう。

新しい1歩を踏み出す君に置いて行かれそうな僕は、動き出した電車に追いつくようにと自転車のペダルを踏み込みます。

徐々に広がる電車との距離に“別れ”が現実味を帯びていく瞬間が非常に巧みに描かれていますね。

泣いている顔を見られないようにした僕。

そして、2番では君の涙も描かれています。

声が震えていたことでそれに気づく僕。

僕と君は大切な、長い時間を過ごしてきた同士であることが伝わってきます。

なぜ泣き顔を隠してしまうのか。

それはきっと、互いに相手を想っているからなのでしょう。

別れが悲しいと泣いている姿を見せてしまえば、相手は心配するだろう。

相手を悲しませてしまうかもしれない。

相手を大切に想うからこそ、涙は見せないし見ない。

そうして相手と別れる姿には、あたたかい優しさが満ちています。

1位:天体観測

天体観測
BUMP OF CHICKEN
トイズファクトリー
販売価格 ¥962(2018年1月11日12時41分時点の価格)

基本情報とおすすめ歌詞ポイント

BUMP OF CHICKEN人気に火をつけ、彼らの代名詞とも言えるくらい有名な「天体観測」。

この楽曲は彼らの通算3枚目のシングル作品で、2001年にリリースされました。

リリースは3月でしたがロングヒットし、さらにその後も新曲がリリースされるたびに連動して売れるという稀有な楽曲となっています。

背が伸びるにつれて 伝えたい事も増えてった
宛名の無い手紙も 崩れる程 重なった
僕は元気でいるよ 心配事も少ないよ
ただひとつ 今も思い出すよ
予報外れの雨に打たれて 泣きだしそうな
君の震える手を 握れなかった あの日を

出典: 天体観測/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

今回はとっても有名なサビ部分ではなく、敢えて別の部分の歌詞をご紹介しています。

特に“宛名の無い手紙も~重なった”の部分は、思春期特有の“胸に募る思いを表現しきれずにいる”様子をとても的確に表していると思えます。

彼らの楽曲は非常に視覚的なイメージの広がる作品が多く、目を閉じて歌詞の世界に浸れば、まるでそこに自分がいるように映像が見えます。

「天体観測」の後、彼らの歌詞・世界観はどんどん研ぎ澄まされていきますが、ダイヤの原石のようなこの楽曲の美しさや強さは、今後も変わりなく人を魅了していくのでしょう。

「背が伸びるにつれて」というひとつの表現に改めて注目してみましょう。

ここからは背が伸びる時期、つまり中学生や高校生になる頃。

君と天体観測に出かけたのはそれよりも幼い日の出来事だったことが読み取れます。

幼くて自分の力ではどうにもできないことが多かった頃。

悲しんでいる君を慰める方法さえまだわからなかった頃。

そばにいてあげたかったのにできなかった。

そのことを大切に胸に留めたまま大人になっていく姿が、ここから映し出されています。

誰かに寄り添う

それはBUMPの世界の礎とも言える意思です。

あのとき握れなかった手を掴みたい。

その想いは天体観測から現在に至るまで、変わることのないBUMPの信念なのです。