楽曲情報
2004年3月にリリースされた7枚目のシングル。
カップリングは約7分間の大作「Ever lasting lie」(Acoustic Version)です。
(もちろん、毎度おなじみ隠しトラックもあるよ!)
メジャーとしては7枚目のシングルですが、初出は彼らのインディーズアルバム「FLAME VAIN」。
デビュー当時のバンプは物語性の強いドラマチックな歌詞が印象的です。
その中の一曲としてリリースされた「アルエ」。
不思議な存在感を持つ「女の子」と、彼女に寄せるピュアな想いが伝わってくる爽やかなナンバーです。
タイトル
タイトルの「アルエ」とは、綾波レイのイニシャル“R・A(アールエー)”をもとにしたもの。
曲中に登場する愛しの女の子”アルエ”も、綾波レイそのもの。
それもそのはず、この曲は藤原が彼女に本気で恋をして生み出したものなのです。
詳しく見ていきましょう。
歌詞
白いブラウスの彼女
白いブラウス似合う女の子 なぜいつも哀しそうなの
窓際に置いたコスモスも きれいな顔うなだれてる
青いスカート似合う女の子 自分の場所を知らないの
窓ぎわに置いたCOSMOSも 花びらの色を知らないの
出典: http://j-lyric.net/artist/a000673/l0025a9.html
白いブラウスと青いスカート。
綾波レイが直用していることの多い、学校の制服の配色ですね。
「花びらの色を知らないの」とは、彼女が自分の美しさについてまるで無頓着なことを意味しているのでしょうか。
いつも物憂げで表情を表さない綾波レイ。
哀しげに見える彼女は、エヴァンゲリオンのパイロットとして以外の生き方を知りません。
自分の居場所を知らず、心を開くことのできない彼女への切ない眼差しが伝わってきます。
包帯を巻いた心
ハートに巻いた包帯を 僕がゆっくり解くから
日なたに続くブリッジを探しておいで
哀しい時は目の前で 大声出して泣いてよ
そんな寒いトコ今すぐ出ておいで アルエ…
出典: http://j-lyric.net/artist/a000673/l0025a9.html
「ハートに巻いた包帯」とは、傷だらけの心、と取れそうです。
劇中でも綾波レイはよく怪我して包帯まみれになってますしね。
心に布と書いて「怖い」と読みますが、怖がっている彼女の心に、そっと包帯を巻いてあげたい、そんな気持ちが伝わってきます。
「ブリッジ」、橋や船の甲板という意味ですが、わたしには「橋」に読めました。
「日向に続く橋」、なんとなく、ヱヴァンゲリヲンから降りてほしいって言っているようにも聞こえますね。
「そんな寒いトコ」はヱヴァンゲリヲンの中にも聞こえますし、まるで生活感のない彼女の部屋、あるいは独りで生き続ける人生そのものかもしれません。
笑い方のわからない君
君は人より少しだけ 無器用なだけの女の子
「ウレシイトキドンナフウニ ワラエバイイカワカンナイ…」
出典: http://j-lyric.net/artist/a000673/l0025a9.html
この部分は、作品の中の綾波レイの名ゼリフ、
「こういう時、どんな顔すればいいのか分からないの」
からきていますね。
あのシーンで綾波レイにノックアウトされたファン、多いんだろうなあ…。
うれしいと感じても笑うことができない、閉ざされて傷ついた彼女の心。
そんな彼女の幸せを願い、癒やしてあげたいと願うピュアな恋心が伝わってきます。
コスモスの花言葉
ハートに巻いた包帯も もうすぐ全部ほどけるよ
怖がらないで素顔を見せてごらんよ
「ウレシイトキニワラエタラ」「カナシイトキニナケタラ」
そんな寒いトコ今スグ出て こっちにおいで
ハートに咲いたコスモスが 枯れないように水をやろう
青空の下でゆれていてスゴクきれいさ
ブリッジで撮ったスライドは 君が生きてるって証拠さ
暖かい日溜りの中で一緒に 手を叩こう
出典: http://j-lyric.net/artist/a000673/l0025a9.html
なんでコスモスかというと、作品の中で綾波レイの部屋にもコスモスが置いてあるシーンがあるから。
余談ですが、コスモスの花言葉は「乙女の純潔」。
うーん、ぴったり。
綾波レイのひとりぼっちの部屋、そして綾波レイを取り巻く冷たい環境。
そんな中から愛する彼女をあたたかい場所へ連れ出したい。
そして青空の下、日溜まりの中で一緒に手を叩いて笑いあいたい。
コスモスの花言葉がぴったりな綾波レイ。
そんな彼女を慈しみ、愛して守ってあげたい。
ピュアで切実な恋心は、バンプの藤原本人の綾波レイへの想いから描き出されたものだそうです。
ですが作中に照らしてみれば、主人公の碇シンジから綾波レイへと寄せる想いとも充分重なる一曲。
後に多くの名作タイアップソングを生み出すバンプのポテンシャルが早くも発揮されていますね。