「Lemon」から7ヶ月……
あの大ヒットを経て
前作のシングル「Lemon」から約7ヶ月。ついに9thシングル「Flamingo」の登場です。
「Lemon」は驚異的な大ヒットを記録し、数々の記録を打ち立てたのはご存知の通り。
「Lemon」で米津玄師は、彼にしてはわかりやすい言葉で美しく、そして悲しみを孕んだ世界を表現していました。
何かか透けて見えるような、透明感を帯びた世界。
そして毎日の日常生活で乾ききった私たちの心にまっすぐに降り注いでくるような瑞々しさを湛えた曲でしたね。
この曲は、 米津玄師としては初めてドラマの主題歌でもありました。
この曲で初めて彼の世界を知ったという方もかなりいたことでしょう。
美しい透き通った世界に魅了され、次の新曲はどんなものになるのか期待も膨らんでいたことと思います。
新曲の正体は?
近年では珍しいほどの大ヒットを記録した「Lemon」。
従来からのファンではない方にも支持された直後の新曲といえば、似た系統のものを持ってくる場合が多いのではないでしょうか。
新曲もわかりやすい言葉で表現した、切ないイメージものになるのではないかと予想した方も多かったでしょう。
果たして、新曲はどんな曲になっているのか。
これからじっくりと、その正体に迫っていきましょう。
「Flamingo」
「幸運の鳥」ともいわれるフラミンゴがタイトルに
「Flamingo」。新曲のタイトルです。
フラミンゴという言葉から思い浮かぶのは、オレンジ色がかったピンク色をした、美しい鳥の姿でしょうか。
大きな羽根を広げ、湖のほとりで舞う姿はとても幻想的でこの世のものとは思えないほど。
また、フラミンゴは「幸運の鳥」と呼ばれることもあります。
二羽が向かい合うと、まるでハートのように見えることからそう呼ばれているようです。
米津玄師のフラミンゴは、いったいどんな姿をしているのでしょうか。
きっと彼のこと、一筋縄ではいかないのは間違いないでしょう。
歌詞の世界に迫る
では、さっそくその世界に迫っていきましょう。
宵闇に 爪弾き 悲しみに雨曝し 花曇り
枯れた街 にべもなし 侘しげに鼻垂らし へらへらり
出典: Flamingo/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
美しい言葉の世界
一見して「Lemon」とは異質な歌詞であることがわかります。
日本語というものの美しさを意識した言葉選び。これぞ米津玄師の真骨頂。
歌い出しのたったこれだけでこの曲の持つ世界に引き込まれていきます。
こうした美しい言葉は私たちの日常から失われつつありますが、彼の中にはしっかりと息づいているようですね。
米津玄師は三島由紀夫や室生犀星を愛読しているといいます。
この言葉選びの美しさにはそういった先人たちの息遣いを感じることもできますね。
宵闇は、夜になる前の薄暗い時間帯。黄昏を少し過ぎたくらいの感じでしょうか。
最も夜の間中ネオンが灯る現代の都会では、一晩中宵闇といってもいいくらいの明るさですね。
「宵闇」と「悲しみ」、そして「雨曝し」の3つの言葉が相まって非常に悲愴な空気を感じさせます。
恋愛にしろ、友人関係にしろ、爪弾きにされた悲しみは心を引き裂きます。
冷たい雨が降っているかのように心を凍えさせます。
傷ついた心を隠す為に乾いた笑顔を浮かべながら、ふらつく足取りで今日も世の中を生きていくのでしょうか。
何も映らない、乾いた心
そんな”彼”の心の中には、もう何も響きません。
鮮やかに色づいているはずの木々も、華やかな街の姿も、”彼”の心には届きません。
何もかもがぼんやりと霞んだような花曇りの空の下で、精彩を失った街は”彼”にだけそっぽを向いてるかのよう。
何もかもが色のない世界になっていく。
そんなことを感じる心も失うほど傷ついたまま、それでもどうしていいのかわからずに。
取り繕うような笑顔をとりあえず浮かべて生きているのです。
あるいは、これ以上傷つかないようにするために。