『マシンガンをぶっ放せ』のタイトルには、「マシンガン」という銃器の名前が目に入ります。
ここから予測するのは武器や爆弾などに対する何らかの憤りで、当時の世界的な背景にあるようです。
楽曲を制作した1995年は、各国で紛争なども多く連日の報道は戦争ばかり。
そんな中、フランスが他国の反対を押しのけ核実験を行いました。
この実験をした場所と言うのが、フランス領のポリネシア。
シラク大統領の許可の元6回にも渡って、実験が行われていたのです。
ポリネシアはニュージーランドに近い南国で、青い海や緑が生い茂った自然の深い国。
そんなポリネシアの自然を破壊する行為である核実験は、大きな反対にあっており以後フランスは実験を行っていません。
しかも1995年はユーゴスラビア紛争も続いており、それを見ていた桜井和寿は怒りを込めて『マシンガンをぶっ放せ』を作り上げたのです。
ジャケットデザインの意味
そんな深い意味合いのこもった『マシンガンをぶっ放せ』ですが、ジャケットデザインは2体のフィギアがいるのみのシンプルなもの。
この2体を見る限り、「悪役」と「ヒーロー」という対照的な存在にも見えます。
おそらくは強烈な内容の楽曲なので、ジャケットデザインで少しでも柔らかな印象を持たせようとしたのではと予測。
しかしながら悪と善という構図をやんわりと表現しており、ここから見ても当時のMr.Childrenは相当尖っていたのが見えます。
『マシンガンをぶっ放せ』の歌詞を深読みする
ほぼ全てにおいてインパクトがある『マシンガンをぶっ放せ』。
どれほどの強烈な歌なのか、歌詞を解説しながらチェックしていきましょう。
歌い出し
あのニュースキャスターが人類を代弁して喋る
"また核実験をするなんて一体どういうつもり?"
愛にしゃぶりついたんさい
愛にすがりついたんさい
出典: http://lyrics.wikia.com/wiki/Mr.Children:%E3%83%9E%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%82%92%E3%81%B6%E3%81%A3%E6%94%BE%E3%81%9B
一番フレーズから見えるのは、TVを通して俯瞰で眺める戦争の様子。
それを伝えるニュースキャスターの疑問が、そのまま自分の疑問にもなっています。
ここで気になるのは「愛にしゃぶりついたんさい」というフレーズ。
作詞を担当した桜井和寿は、ちょっぴり色気のある言葉回しに九州弁を付け加えて柔らかい物言いにしています。
善も悪もない
やがて来る"死の存在"に目を背け過ごすけど
残念ですが僕が生きている事に意味はない
愛せよ目の前の不条理を
憎めよ都合のいい道徳を
そして僕に才能をくれ
出典: http://lyrics.wikia.com/wiki/Mr.Children:%E3%83%9E%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%82%92%E3%81%B6%E3%81%A3%E6%94%BE%E3%81%9B
TVとはいえ実際に流れる戦争の風景は、正に生と死の世界。
そして死をイメージしやすい戦争は、誰もが悪い印象をもつ事象です。
更に戦争は見て見ぬふりをする人が多くどこか他人事ですが、実際は悪も善もなく自分が死なないように生き残るのみ。
そんな無意味な行為に対して桜井和寿は、「憎め、そして愛せ」と語っています。
戦争というのは国のトップ同士で決められることで、国民はそれに付き合っていかなければなりません。
そういった不条理と、簡単に戦争を判断してしまう道徳心を皮肉っているのが見えます。
サビ
見えない敵にマシンガンをぶっ放せ Sister and Brother
正義も悪もないこの時代を行進していく兵士です
殺人鬼も聖者も凡人も 共存してくしかないんですね
触らなくたって神は祟っちゃう
救いの唄は聞こえちゃこないさ
出典: https://twitter.com/MrChildren0308_/status/923551192201834496
サビでは道徳や不条理などの、目に見えないけど人生を左右してしまう目に見えないものに対して「マシンガンをぶっ放せ」と語っています。
善も悪もない戦争の場面を今の世の中に置き換えると、さまざまな人種や宗教、罪を犯した人間すら同じ世界は同等。
ここから見ても、実は戦争と同じようにこの世の中も危険なんだということが分かりますね。
「触らなくたって神は祟っちゃう」と言うフレーズは、「触らぬ神に祟りなし」を揶揄したような言葉回し。
実際の意味は「神様と繋がりを持たなければ恩恵も受けられない」ということですが、桜井和寿は「神様に祈ったって罪は罪なんだ」と言っています。
2番歌い出し
参考書を持って挑んだんじゃ一生 謎は解けぬ
良識を重んじてる善人がもはや罪だよ
愛せよ目の前の疫病を
憎めよ無能なる組織を
そして僕にコンドームをくれ
出典: http://lyrics.wikia.com/wiki/Mr.Children:%E3%83%9E%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%82%92%E3%81%B6%E3%81%A3%E6%94%BE%E3%81%9B
2番歌い出しからは勉強ばかりしていても、人生の謎はわからないという意味合いのフレーズ。
続く歌詞ではいい人に見えても、実は大きな罪を犯していることもあると言っています。
この罪と言うのはおそらく「レイプ」やそれに付随する「エイズ」で、近年でもよく目にする幼児虐待や蔓延する性病に関する表現と風刺。
そしてその物事に対する、組織に対しての憤りも見えてきます。